第4話 いちげき、松本次郎と司馬遼太郎に見る百姓の違い
明けましておめでとうございます。
本年もなろうの隅にひっそりと生息し続けると思うので、よろしくお願いします。
今回はちょっとした歴史小ネタ。
今年の正月、松本次郎先生の漫画いちげきが時代劇としてドラマ化されました。原作は永井義男先生の小説です。
私はいちげきを全巻持っているので楽しみにしていたんですよ。
しかし、一時間半で描ききれるのか? という不安は的中し、正直どうしようもない出来でした。
クドカンが脚本という不安要素も的中し、原作ファンとしては期待外れ。
ちなみにTwitterでは好評な意見が結構多いよう。
●カクヨム用追記。クドカン批判ではなく、作風と一致しない人選に思えた。そっちに行くのかーという、不安ですね。
いちげきを簡単に紹介すると、
「百姓から採用した戦闘部隊をつくり、薩摩のテロリスト侍をぶち殺す」
という物語。百姓と士分の階級から物語を描いた作品です。
虐げられた百姓が一撃必殺隊となって大暴れするが、部隊を作り上げた首謀者は勝海舟。これで流れは大体伝わると思う。
実際百姓は士分よりは下の身分です。
しかし本当に虐げられていたのか? という疑問が沸くんですよ。
そこに一つの視点を提示しているのが、司馬遼太郎先生の「峠」という作品。
作中の士分と町人の描写を簡単に解説すると、
「百姓やら町人を殺したりする不逞侍は公儀に裁かれるので、安易に手出し出来ない。むしろ脅迫されかねない」
って感じ。
幕末の混乱期は外国人ぶっ殺す侍が跋扈していたので、これが機能していたかは分からないけど、さすがにやり過ぎると藩ごと取り潰されたりしそう。
かなり遡ると、徳川家光は弟の忠長をぶっ殺している。秀忠、家光は幕府創成期の将軍なのでかなり過激だっただろうけど、どうも百姓=奴隷みたいなもん=農奴ってのは違うんじゃないかと。
もちろん時期と地域の違いはあるでしょうが。
けど百姓vs士分という構図がないと、作品としては魅力に欠けます。階級闘争という対立軸があり、それを裏から操る勝海舟がいる。
ここが肝なので。
日本史に詳しい方なら色んな例から実態をご存知なのでしょうが、私なんかは「そういう舞台装置だ」ぐらいの感覚で読んでました。
現代でも酷い扱いを受ける人達がいるわけですから、時代を遡ればもっと虐げられていたはずだ! と安直に考えそうですが、落ち人狩りなんてものもあったので、百姓もしたたかに生きていたと思います。
それでもとにかく、いちげきは面白い。
だからこそ連続ドラマにして欲しかったなあ、というのが原作ファンの率直な感想でした。
今私は、中世をモデルにした作品を描いています。
中世ヨーロッパ、神殿騎士団なんかがいた時代の異世界勇者系作品です。
タイトルは「殺戮勇者の使い方」
姉弟の恋愛を描きながら、勇者vs魔王という古典とも言える題材に、異世界転生者を敵として描いています。
私なりに調べものをしながら描いてます。あくまで架空の物語と設定ですが、そこに歴史的な要素も感じていただけるよう頑張ります。
最後は宣伝になってしまいましたが、良かったら読んでみて下さい。
ではまた次回!
皆さんよい一年を!
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