第12話 独立宣言

 絆を問う声と同時に更新された。

ー ”龍世界” HP

20xx年08月15日午後00:00 更新

ーーー

世界各国 及び 報道機関 関係各位様


20xx年08月15日午後00:00をもって建国を宣言します

 国名 龍世界(ドラゴン・ランド)

 国主 闇 龍司


領土  バリア内

   (旧日本国喜多方市山都町河原田龍神社を中心に 1.5㎞

    球場囲まれた範囲)

    域内の土地建物は接収、建物は返還可能、土地は応談

国民  ドラゴニュート

   (巷で闇の一族と呼ばれる者・壁の効果を無効化できる)

政府  闇 龍司を国主とし、長老会を政務機関とし、三権の

    最終決定権は国主が持つ

主権  独立国として主権を有する、敵対行為には反撃する権利を有し行使する

   (龍世界は正確には惑星である。

    バリアの性格上ステルス状態に有り、グーグルマップにも表示されない)    

    

 状況、理由

20xx年08月12日 09時10分頃、日本国福島県喜多方付近で地震発生

同市の一部が地球表面より分離致しました

グーグルでの確認でも判るように地球上に存在しません

バリアの出入りはバリアの選択で、人為的に行えません

龍世界の自力移動が可能な事も認識しています

離脱時に大災害も予想され、日本国に及ぼす影響を考慮し、

 確認作業は実施しては居りません

事実上は惑星でありますが、余りにも小さく生産性が低い為、国と称した

我が国への干渉、敵対には対抗する

 以上を鑑み建国する

付帯

国として認める為の交渉も承認も不要とする

国際機関への加盟もしない

経済協力をする国を募集する

 経済協力に必要な、国家間の国交や協定の交渉は応じる、遵守の意思も有る

 龍世界から異世界の星へと道が開けた

  将来的に仲介貿易を行える事となる、詳細は続報

ーーー

 20xx年08月15日午後00:00

「只今より正午をお知らせします」「プ、プ、プ、ピー」

「グウオオオ~~~ン」突如ラジオから獣声が響く

TVを観ていた者はチャンネルを間違えたのかと観ると

画面に西洋風のドラゴンが大写しで吠えていた、

吠えるドラゴンの首部から頭部、顔へとズームしていく、

顔の上、前頭部に人影、ズームが止まった時、人がいた

「初めまして、僕が闇龍司、国主を名乗る者です。

今回。龍世界の独立を宣言致します、龍世界は地球から

剥がれた地表の一部で、魔法のバリアで囲われています」

話しながら浮遊で降りていく、地上には数人が立っている

「僕の立つこの星はパラライズ星、大陸はドラゴン大陸の竜国 

後のドラゴンが国王の竜王ドルン、「我が竜王ドルン」

「後は各国の要人だが今回は紹介を省くが、良く観ると言い

地球基準で人族であるが人ではない」ゆっくりとカメラは移動し、

特徴を誇らしげに披露する様に見せる彼らを、順次アップし映し出す。

ドラゴニュート、ウサギ、トラ等を映し終え、画面が引く

 高い山々が連なり、半円を描き、その凹みがテラス上に成り

そこに山のフィギュアの様にドラゴンが並び、その前に人族

そしてカメラは時計周りに動き低くなる山並み、広がる大地

広大な森林の中の湖と開かれた、正方形の街を映す。

「これがドラゴン達が切り開いた街40㎞四方有ります、

回りがデカすぎて小さく見えますがフフ」

現在ここに新都を建設中の旨説明し、ヘラ大陸、アレス大陸

その他に二大陸有る様で未だ未踏であり、将来性は大きいと

貿易の可能性を示唆し、荷物の運搬も移動も魔法が有る旨語る


お知らせが何点か

 龍世界が自力移動する事を証明する用意はある、希望した場合

周囲への被害の責任の所在は日本国にある。

 収納の魔法の実施も可能、東京タワー、国立競技場等も可能

ただし、費用代わりに痛みの少ない建物の寄付を願いたい

即、無料で収納するので解体の期間、費用の節約になる

異世界HP上で申し込み事、一般も可、但し不正や嵐には罰有り

移住を希望する者は受け入れる用意は有るが今ではない

宣言に異議を挟んだ国は今後一切の接触をしない

ーーー

 画面が戻った、放送中も電波は出ていたし、局のモニターにも

異常は無かったが、ジャックされてしまった。

電話が掛かり詰め、苦情が続いた。

 この後、一般の不要物件の程度良好の物は、掲載後消えていった。

悪戯や悪質と思われる物件は、内容、アカウント、名前に加へ

以前の行為を含め晒され、このHPのアクセスも停止された。

 決済に時間が掛かるので、即応できない官公庁、

ツルの一声の中小民間の応募、無料解体(収納)で騒動とは…

ーーー

 「首相お話が」堤太一が部屋に入って来る。

「アポは無いはずだが?」「TVは見てないのか?」

「何の事だ?」「ここ迄、危機管理意識も、無いのか」

「側近のご注進すらないのかね」二人の会話に割り込む

数人の国会議員達、「それ程の事なのだよ岩田君」

「闇の一族の乱だよ」「山都が何か起こしましたかな?」

「独立宣言をしたよ、TVで、ついさっき」「TV局は…」

「電波ジャックだよ、日本国内全域に向けて発信された」

「確保しました」職員らしい者が携帯を差し出し再生が始まる

「…」「日本国内だけの電波ジャックの技術は存在しない」

「山都のバリアも核シェルタに成り得る」「認めなければいい」

「君は…、あのバリアの球体は惑星、移動手段は有るんだよ」

机上の報告書を見つけ「これ読んで無いのか?」「…」

「他所で話そう、長老達にも連絡を」どやどやと皆が出ていき

独り残され画面に見入る岩田総理

「ペテン師め、秘書官何故TVの件、報告に来んのだ」

「山都関係は無視しろと仰ったのは首相です」

「各省、自治体に通達、ペテン師の条件の不要物件を早急に

異世界とやらに載せろ、適当な件数が載ったら、

タワーと競技場を収納やって見せろと送れ」

「誰の名前で」「儂の名前だ」足早に去っていく秘書官

腹の虫が収まらず思案し、閃きました「ククク見てろ」

異例の速さで動いていく、過疎化の地方都市の建物は壊すにも

費用が掛かり、放置中に朽ちていく、請わしてもらえれば…

学校、集合住宅、病院…載るは、載るは…こんなにも

ーーー

 首相の登庁時のぶら下がり取材、「首相お早う御座います」

通常は足を止めずに話す、記者も歩きながら話す、故にできた

ネーミングなのだが、足がと止まった。

「昨日の詐欺師君の惑星云々、見せて貰おうよ、ねー記者諸君

物凄いショーに成るよね、観るの賛成だろ」口調がご機嫌!

「総理、本当に動いたら惨事に成りますが?」疑わしげに聞く

「ないない、出来る訳がない、直径3㎞を宇宙に、どうやる?」

「本当に、交渉も無く、やって見せろでいいのですか?」

「ああ、どうせ小さい記事で終わるんだろ」

「電波ジャックもありますし」別の記者も「ネットも有ります」

「建物消えてますしね」「・・・」

「扱い難しいですよ」「ま、頼んだ、記事に頼む」足早に消える

ーーー

 お昼にTVジャックが再び起こり、龍司が画面に登場し

「この後、午後13時に国立協議増、その1分後に東京タワーが

収納されます、収納の際は生き物以外は全て吸収し、生き物は

排出され、高度に居た場合落下と成り危険です、また衣服も収納

され裸体に成りますので、避難して建物から離れてください」

新聞紙面が表示され、画面一杯に今朝の様子の記事が躍る。

「これは岩田総理よりの依頼で有り、その実行です。

責任は総理大臣、それを選んだ国民全てであり、貴方達であると

自覚してください、それが民主主義ですから。

 二点目、24時間後、異世界は離陸します、ペテン師呼ばわり

その代償は喜多方の消滅で済めばラッキーでしょう、

プレート接合地域で有り、火山帯であるにも拘らず決定したのは岩田総理、

すなわち投票した国民です、民主主義とは投票しなくとも行動しない限り、

賛成したのと同じです。

 警告します!

24時間以内に山都周辺10㎞圏から退避してください

時速1㎞程で上昇します、早い程噴火の威力が強いとの予想です

嘘偽りではありません、避難して下さい。

ーーー

 グラスカメラON

 各局のTVクルー、ユーチューバー、報道陣、一般人も群がる

もし、ここで「噓だピョーンとやったら最高だろうな」と思う。

ヘリも数台飛んでいるのを見ながら、久しぶりの地球を見回し、

徐々に降りていく、塔の途中に人が見える、目立ちたがりのお騒がせだろう、

ヘリの乗員と目が有ったので小さく手を振ったら、

目を剥き顎が外れそうな顔でこちらを見て、動揺してヘリが揺れ

カメラマンが視線の先の龍司を捉えた。

 空の上の龍司は微笑んでいた。

上空の風もヘリの羽の風も、全く影響していない、髪も靡かず、

そこに、地面に立つ姿勢で只佇んで、胸の前で小さく手を振る

街の通りで気易く手を振る様に。

彼は徐々に降りて、お騒がせ男の傍でしゃがみ声を掛ける

「ねえ、そこの人」下ばかり見ていた男は「ウゲ、おまえ…」

浮いてるのに気付き、「ホントかよ」その様子は地上からも

ヘリからも捉えられている、「消えるのに何でここ居るの」

「思い出を消されない為だ」「返却は希望すれば戻すのに」

「大体が消せない癖に」「それが本音かい、質問生きたい、ここで死ぬ?」

「やってみろ」[収納]タワーが消えた途端「ギャ~~」落下していく男、

視ている者は驚き、歓声や怒号も聞こえる[停止]半分程落下して止まる、

蒼い顔だが意識はある「再度質問、生きる、死ぬ?、次有るし時間が無いんだけど」震えながら睨みつけてくる[解除]激突寸前[停止]抱き止め[解除]

気絶し、漏らした男を地面に寝かせ、

[転移]龍司は競技場へ


 競技場のすぐ上空に出現し、中を覗くと数人いる。

ここにも同類が居るんだね、関わりたくない

[収納]すっ裸の人達を残して龍司は消えた。 

 グラスカメラOFF

思い出を守るんだ男もメディアに露出していたが、龍司の動画のネットアップで

目立ちたいだけの事実が露見し、話題から消えた。

ーーーユーチユーバーのお仕事

〝異世界生活、龍司編”

②収納ました、東京タワー、国立競技場

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