第11話 送り火の日

 明らかに日本人では無い集団が、壁の周りを徘徊するのが多数目撃され、

違法行為で有る銃撃、散らかる薬莢、爆破の音や痕跡が発見されるに至って、

監視の強化がされるが、その後も巧妙に監視をくぐり抜けて多発が継続し、

一部住民ともトラブルが発生する

 「わたしは△△国の□□だ、立ち入り調査を希望する」

 「わたし◇◇国大使、住民責任者との面談を要請する」

外国の大使からの要求や研究機関からの調査希望等も増加した。


 地震前、龍世界に住んでいて排除された、住民が騒動を起こす。

自分の家に戻れないから、行動に出るのは当然であるが

「家を返しなさい、不法に占拠した物を返しなさい」

「私は◇◇党、✕✕です、法治国家で非道は許されません」

壁の外の道路で、家返せ運動も盛り上がる。


 壁の周りは騒動が拡大していった、世間では後の、闇の一族の反乱である。

これ程の状況に成っても、岩田総理は適切な手が打てなかった。

正確な状況確認はできた、慎太郎から早期に情報提供を受けた、

それを判断できず無駄にし、現地警察の介入だけで済ませた。


 この状況の中で一部学者と、総合的に視る事の出来る人達に

多くの外国の国や機関が関心を寄せ、政府にも接触し、

特に外国軍需関係者や自衛隊等は、バリアに価値を見いだした。

一部機関が暴走し、試した結果が銃や手投げ弾等、少量火薬では傷も付かぬ様だし、動力的な物はエネルギーを吸収され続ける。

電気、科学物質も空気の壁には効果は生まない、もう、お手上状態だ。

だからこそ、知りたく、手に入れたいのがバリアの秘密、

戦い方が変わる程の、軍事的に画期的な代物である。

 初期に調査していたら、核シェルターとしての利用さえ想定できたろう。

しかし、暴走した世論を止める事は支持率の低下に繋がり、近く行われる選挙に

不利との思惑で、政権政党も内閣も積極的に動かなかった。

ーーー

 迎え火を炊いた夜、一族全員は夢を見た。

広大な草原を走りまわり、巨大な獲物を魔法や剣、銃等で狩る者達、

蒼く澄んだ海を航海し、長時間泳ぎ、空気の球で潜り獲る者達、

畑を耕し見た事も無い、野菜や果物を手にして、大きさに、味に喜ぶ者達。

野や山を駆ける、大人も子供も地球以上の目を見張る能力を持ち

魔法も使って、病を治し、光の玉を夜間の灯りにしているではないか。

魔法、錬金と言う教科書、魔法化学科、超能力魔法科で学ぶ、

それを見て、自分だと感じた、不思議と違和感は無かった。

自分の能力も理解し、訓練の方法までも閃く、

能力を知ってから決めればよい、将来に関してそう感じた。

[送り火の日に訪れる、その日を待ち、鍛錬せよ、励めよ]


 好機を潰された慎太郎だが、竜三に「焦るな」と諭される、

全てが始まるのは、龍司が帰ってからだと。

密かに食料、日用品、ガソリン、耕作機器の確保もできたが、

世間的には、中の住民の安否確認さえ行われていない。

13日以降、壁域内の情報は途絶えた。

代わりに域内の人々は動ける者は、自己流の鍛錬三昧と成る。

 裏で、慎太郎は堤太一と接触していた。

バリアの効果の価値さえ理解できない者に頼る意味がない故の選択。

ーーー

 一日置いて15日のネットに”龍世界”なるHPが開設された。

初回コンテンツとして幾つか掲載された。

ー 壁に攻撃を仕掛ける者達

国名、攻撃内容迄、有り得ない事に動画付きで掲載。

ー ユーチユーバーのお仕事

 ”龍世界発端”

11日朝の交通事故の動画、監視カメラ、龍司グラスカメラ

2視点とナンバー画像

勇者たち四人のアラル神国への召喚時の顛末記事

〝異世界生活、勇者四人組編”

①召喚されました

 1高郷川井での事故 

 2アレス大陸アラル神国、街の上空、訓練場の勇者

〝異世界生活、龍司編”

①召喚されました

 1高郷川井での事故

 2ヘラ大陸アナト国、贄の塔アーシア

 3エーツ帝国軍

 4アレス大陸アラル神国、街とカツアゲ

 5冒険者ギルド前での騒動、グリフォン

 シリーズ化の体を成してる。

ーーー

 アクセスは伸びる。

誹謗中傷もうなぎ登りだが、異変が始まった。

 匿名の筈の誹謗中傷者の投稿内容、アカウントと名前が

”龍世界”上で公開され、別垢の使用迄、公表添付された。

悪質なものは他の場所での誹謗中傷も併せて載せられる。

在り得ない事態に、悪質者は激減していく

複数社の垢の公表に疑問も有ったが、公表された垢の追跡と

調査を行う者も居て、事実との結果も載る。

 嵐が出来なくなり、自分の掲示板に乗せても話題性に乏しく拡散も伸びないし、

発言のリスクも出る、結局フォロア内での話題で終わる。


 題材に死者の動画を作成等、不敬であり、犯罪行為である。

身内からの削除要請も有り、発信元を探したが、消す事処か、

垢の発行元も運営サバも特定できなかった。

ラノベの発想その儘に勇者召喚が成されたと、在り得ない話と

切り捨てできない雰囲気に変わるのも早かった。

アップ動画の量が多すぎて、作る費用の概算で、認める方が

納得できる程の資金を要する、つまりムダ金使う意味が無い。

さらに特撮で再現する場合の必要時間とクオリティに加えて

リアリティが有りすぎて、再現すらできないレべルなのだ。

 別の肯定派の少数意見も、もしも別世界で生きているなら、

動画で会えるではないか、何時か会える日が来るのではないかと…


 話題が壁と勇者に集中しているが、重要なものがある。

その一つに

ー 龍世界に緊急事態宣言発令中

 緊急事態宣言

20xx年08月12日午後0時を持って発令

域内住民の域外への移動を制限する

 国会議員 会津慎太郎、市会議員 闇竜三

20xx年08月12日午前09時10分頃喜多方市山都町の直下を震源とする地震が発生、

その際壁が発生し、その影響により一部住民が不思議な力で、域外に排出され、

分断が生じた。

排出された住民は帰還が叶わず、内の者は閉じこもる状態。

同日午前11時頃、会津慎太郎国会議員より内閣総理大臣に前記の状態を報告、

異常事態を伝えるも対策も支援も無し。

同時刻頃、喜多方市役所に闇竜三市会議員より連絡、壁外の状況を相談、

その際、住民が域外に出るのがトラブルに成る旨伝へ、調査協力要請へも、

検討、様子見で済まされ、TVで観ると壁外が時間経過と共に暴走行為、

暴動騒ぎと成るのを見るに付け、相談先も見出せず、

マスコミへの弁明等、愚の骨頂と判断し静観中とあった。 


ー 域外退避者名簿

と、表記が有り、強制排出者の名簿が公表されていて、

家屋も名簿者及び域外者の物件は、厳重封鎖中の旨記して有る。


 ”龍世界”HPは域内の誰も知らぬものであり、地球に力が及び、

その事を知らせる意味合いで、目に見える形を取ったのがこれ、

 近代の科学と自由思想と言うネット社会に、魔法と神力と言う

最も似合わない力で介入した、瞬間なのである。


 20xx年08月15日午後00:00

「巷で闇の一族と言われる者、時が来た頸木を外し、共に有れ

約束の地も得た、箱舟も得た、今こそ門出の時だ、我を信じる者

瞑目して心の声を聴け[新たなる活躍の場を得たいか、新たなる

力を自分の得たいか、欲しくば念じよ”絆”が欲しいと]」


 最初、声が聞こえた、耳に話し掛けられた、周りも同じ様だ。

心当たりのある者は聞き入り、不快に思う者には、心の声を聴け

そこまでで聞こえなくなり終わった。


 ここまで聞こえた人の範囲は日本国内、全ての人であった。

絆が欲しいかに応じた者全ては、心の声が会話の様に聞こえ出し

そのコントロールを直ぐに学び、家族、知り合い等と新たな交流

のコンテンツと成るが、相手の感情が伝わるので、嘘誤魔化しは

きかず、人間関係が変わる事は確実だった。

 連絡も会議も即座に利用できる、超便利グッズで、機械オンチ

苦手意識の人も使いこなせる。

長期間会わない人、ふと思い出して気に成る人に、感情のまま

連絡がいく、あの人は今、機能付きなのでした。


 マネジメント、プランニング等ビジネスのスキル、刀剣、柔術

等の武術、英語力、計算能力等の学力、属性魔法、捻動力等の

魔法スキル、そんな感じで自分の能力や特性が認識できる。

体力、運動能力向上に加えての恩恵、試したくなる自分の力を!

この夜から夢での家族面談が始まる、実行は先だが準備が始まる

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