第7話 リチャード
夫婦にお礼を言われ、様子を見に来ると伝え、ダービットの家を後にする。
グラスカメラON
『見えているのはアレス大陸、アラル神国、神都アラルの中心街です。
人族と獣人が同率で混在する様です、怒られそうで凝視できませんが、
耳、尻尾在りますよ~、アニマフェチじゃ無くてもワクワクします。
道路は2車線分より広く、端を歩く人も多いですが、交差点付近は混雑、
信号機が無い為、渋滞気味の騒然たる雰囲気、市場や大きな商店は大混雑、
あー、尾行されてますね、僕って金持ちボンボンに見えます?、
えッ、違う、お上りさんですか、泣いちゃうぞ。
路地へ入り、誘ってます、「お前、何ブツブツ言ってやがる」来ました定番、
「偉そうに、変なマスクしやがって」数人で遠巻きに逃げ道遮断、刃物迄見えた。
「君達、ニャニヤしてるけど、やられる事も有るんだよ」見張りはっと、
「大人しく出しやがれ」「脅して来たので反撃です[収納]見張りの身包み剥ぎ」
「ギャー何だ」すっぽんぽんの男が道の両端で声を上げる「裸よ、変態よー」
逃げ出す二人を誰も追いかけない、係わるだけ損ですか、
見物人も遠巻きにチラホラいるが、助けに来る気配もない、ただ見ている
「やったのテメ~か」殴りかかって来る6人をかわしながら、気絶させ
剥いて行く[収納]手応え無く終わり、歩き出そうとした時
「パチパチパチ」拍手しながら寄ってくる者が居た。
「そいつ等を捕縛し警備へわたせ」後ろの者達に指示を出し、僕へ向き直る
「力量を見たくて、そのまま放置しましたが、お強い!、それも予想以上に
少しお話をさせて戴けませんか、ここでは障り有で名乗れません」
馬車が寄ってきた、乗り込むとお互いに顔を見合わせ値踏みをする
話出したのは向こう、「世情視察をしておりました、お見掛けして
意図を察したので、黙って見守って居りました」「そうでしたか」』
カメラOFF
「私は隣町の領主をしております、と言っても隣国クマルビでして、故に
あの場での名乗りは、障りが有ったのです、隠れ視察でして」ニヤり微笑む
目的地に馬車は着いた、近くで、ホテルのレストランの個室へ案内され
飲み物が出された後、護衛も無く対する。
「リチャードと申します、隣国クマルビ王国、国王の弟です」
「闇龍司と言います、発音し難そうなのでリューとでも呼んでください、
学生ですので、敬語は無しで願いたいです」飲み物に手を付ける
混入物は無さそうで、不審な感情もこない、ただ、味が馴染めない。
「学生とは習い事をする事ですか?、失礼だが、今お幾つでしょうか?」
「18ですが」「18で、習い事ですか…、率直にお聞きします
貴方は召喚者、勇者様ですよね?」 ・・・間が開く・・・
「ダービットの部下ですか」「イヤハヤ、流石に切れる、そこまで読みますか」
「勇者扱い四名、訓練場に居りますが?」「アナトにも配下が」
「フッ、無駄な駆け引きは止めます、ご用件は?」
「勇者召喚の情報が欲しい、貴方なら全て知っている筈」「見返りはどの程度?」
「私のできる事、全てで」、「ホウ、値段の付かない、豪華な空手形ですかフフフ」
「金銭をお望みで?」「金銭なら恐らくこの星で一番持ってます」何を馬鹿な事をと
言い掛けて「まさかドラゴン大陸」「グイグイ来ますね、正解、大陸貰いました」
「国一つじゃ無く、大陸ときたか、こりゃ見返り困った」と言いつつ嬉しそうに笑う
「話を戻して、貴方にしましょうか?」「僕の身柄一つなら、其方の大損ですよね」
「だから空手形、値段が付かないのは働き次第だから、破格の貢献を僕にくれる?」
「アッハッハ、こんな楽しい事が起こるとは、部下にしてください、国捨てますよ」
「決断早すぎない?」「チャンスは最初が一番嬉しく、価値の有るものです」
「瞑目して僕の声を聞け[僕の仲間になり、共に進みたいか、絆を結びたいか]」
[結ぶ、王弟の楔を断ち切り、羽ばたかせてくれる貴方に付いて行く]
光始める全身を見て、心に満ちてくる思いに、新たな道が開けた事を知る。
「今回の騒動の原因は、アレス大陸、アラル神国の教皇の選挙。
大司教ドナウド三世も立候補の予定だが劣勢
打開策が招喚できる力を持つ大司祭の評判、禁忌のは件は無視
実際に勇者召喚の実績を見せた、四人招喚し現在訓練、強化中
ここ迄が正規のお話、ここからは三世も知らないお話。
召喚時に想定外の事態が発生した。
勇者召喚は通常死亡召喚、地球で死亡、魂のみ転移、贄で身体を再生する
偶然で龍司が巻き込まれた、龍神の加護持ち、で死亡召喚を阻害した
結果、生者召喚(異世界転移)して、偶然に贄儀式に呼ばれた
アナトに間者が居るなら、ここまでかな?」
「生殺しにしないで下さい、誰も知らないその先を」頭を下げるリチャード
「贄儀式でアナトのアーシア姫と知り合った
竜一族と絆を持ち、結果、竜族のドラゴニュート化へと進化した
竜の守る大陸を譲渡してもらい、密かに建国、アナト国元住民の三割が移住済
と、これで全て話したかな」
「もう一声、この国での状況を」首を竦めて哀願される
「勇者は訓練場で訓練中、実力は古参騎士と、戦える程度、
ダービットを含む第六騎士団は篭絡済」
オマケとばかりにダービットの子の話で三世の所業も教える。
「これはまた、予想の斜め上の、さらに上じゃ無いですか」
「クマルビ王国との、今後の関係も考慮して、兄に話せよ、何れ知れる事も多いが
機密の保持、開示、故意の漏洩等での、使い道は任せた、得意だろう?」
「ククク笑いが止まりません、我が主よ、この世界での貴方の能力、それだけで
世界が変わります、城や建物を収納できるだけで国が盗れます、なのにククク」
独り、子供の様に笑い転げる彼を見ながら、先程話していて、「チクリ」とした
生者招喚を瞑想する、感覚的に覚醒したと認識「どうしました?」顔が有った、
目の前に「失礼な事しました」ガバッと頭が下げられる。
「あー、いや、君の喜ぶのは小気味好いくらいだ、今、秘密が増えた」「エッ」
「君の身分なら、特に懇意な、お抱え商人は居るだろう?」「居りますよ」
「最初の初仕事だ、サンプルが欲しい」空間から数回掴みだす、
「お、お、お~~」部屋中に大小の竜の鱗や、宝飾付きの武器、鎧が積まれる
「買い込む資金はこれでいいかい?」「多すぎで、笑いがぶり返しますよハハハ」
呼び鈴を鳴らし、来た者に耳打ちし走らせる、「成程、竜の鱗に、光物ですか」
ノックが有り、許可で一人の男が入って来て、部屋の様子を見、ワナワナしだし
リチャードに目線を合わせ、指をさす「あ、あれは竜の鱗ですよね、あれ程の…」
「サンプル購入の対価だそうだ」「クマルビ王国の十数年の予算には成りますよ」
「挨拶しないと、商売させてもらえないぞ」やっと僕の存在に気づいた様で、
「ポルコと申します、リチャード様には…」「挨拶は省略、僕は龍司、相談事」
「どの様なお話でしょうか?」「君達の知らない世界と商談する為のサンプル収集」
リチャードに目線を合わせ、頷くのを見て、「知らない世界と申されますと…」
リチャードに目配せ「竜大陸の新しい国だよ、龍司が作った」
その言葉にポルコが、目を剥いてアワアワ始める。
「ねえ、リチャード、僕の国の事をバラスなら、信用が置けて、君と昵懇なんだろ」
「はい、私はそう思っていますが」「わわ、わたくしめも、あの、その」慌てふた
めくのを見つつ、「ここから先を聞いたら、後戻りできない程の、覚悟が要るよ」
ポルコはリチャードをみる、リチャードが少し訝しげに、こちらを見てくる。
「仲間に成ってもらうのに、君から話してくれる、初見の僕が話すと、ほら話に」
話をする二人を他所に、食事を楽しみながら考察する、やがて「終わった」との声
ポルコを見つめると、畏敬の念が見て取れる
「瞑目して心の声を聴け[異世界との商いをしたいか、したくば絆を結べ]」
歓喜でワナワナと震える様に「ポルコどうした?」「リチャード様感謝致します」
低頭する商人が「夢でなければ、お告げに異世界との商いと言われました」
「主様、まだ隠し事…」「ポルコの話の前に、今、秘密が増えたと言ったよね」
「確かに聞きましたが」「あの時覚醒した、異世界転移、正確に言えば
世界間転移ができるように成った」
「ポルコ聞いたか、ここ迄の大ぼら、主様が道を外さぬよう、付いて行くぞ」
「ポルコに頼むサンプルはー、宝石は原石の欠片でいい、貴金属は精錬前の鉱物、
金属製品、布地、薬品、種類が多い程良い、量は少なめで。
市場で売ってる物も欲しい、数や量は、少なくて良い、腐りそうな物はすぐ収納
する、収納後時間が止まるから処置はなし
何度か往復するだろうから、ある程度集まり次第、向こうへ行く、
代金は立て替えといて、そこの物の換金後清算、二人は連れて行く」
「そこのお宝預かっても」「任せた、不足なら…」「滅相もない」
「この星で一番の金持ちのほら話も本物か、おっと段取りしなきゃ」
二人共自分の応援を呼び、ポルコは競売、仕入れの算段、部屋の物の梱包等に
余念がないし、リチャードも兄への報告、国を出たい旨の相談、龍司の件は伏せた
リチャードの話が聞きたいとの要望で、夜は同宿となり、夕方迄再び街へでる。
カメラON
『ここが大聖堂、EU各地の建造物に比べれば、やや小規模です。
周りが少し雑然としていますが、意外と落ち着いた雰囲気で、良い景色、
ドローンが無いので魔法で、上から見ますか[透明][フライ]
「ウヒャ~、怖いです、足場が無いって恐ろしい」
三角二つのの組み合わせ、ダビデの星ですね、中心六角に有るのが大聖堂、
建物見えても役所名を知らないので…「すみません」
広い平屋が見えますね、あれが市場、日本ではあまり見掛けなくなりました。
これが勇者の居る騎士舎、隣が騎士訓練場、ここは第六騎士団、降りますね
「騎士さ達異常はない?」「ありがとうございます、大丈夫であります」
「勇者さんは、元気かな」「龍司さ~ん」美咲が走り寄って来る
「今日は元気だね」「うん、絆って親しい仲間なら話できるじゃない、
志保と心で話せたのよ、龍司さんと同じ様に話せるのよ[好きエへへ]
魔法もね「ヒール」」僕の身体が淡く光る。
「へ~、やるもんだ、美咲ちゃんは魔法はもっと伸びる」
「ありがと、嬉しい」歩いて皆の傍まで行き声を掛け
「皆のも見せて欲しい」と、お願いすると、話に乗ってきた
「剣裁きがうまくなったと、隊長が誉めてくれた、「豪打」」試し切り用の丸太が
押し潰された様に切れる「気が潰れるほどなんだ」「どうだ見たか」パチパチ
「おれは地味だけど、バリアだ」「この木投げるからバリア張ってね」
ピュン[バリア]「コン」当たって落ちる、あちこち投げるが落とされる
「予測してバリアが張れる、止めたらブスリも有りだよ」「おー、槍か成る程」
「隊長が弓の腕が上がったって」ストンと的の中心に突き刺さる「ね」パチパチ
「スキルの無いのは志保ちゃんだね、矢を持たずに構えて、そうそう、いいよ
指の感触をイメージして、挟んだ矢じり、摘まんだ矢羽根、唱えて[空矢]」
「驚く前に、もう一度」「的には外れたけど、できました」さらに打ち続ける
「火矢、複射も同じ要領で」「出来そうで、出来ない」「焦らずに続けて」
「美咲はヒールの時、傷なら縫う、骨なら繋ぐ、気分が悪ければ症状の改善を
と適切にイメージすれば、効果が上がる」、手を突き出したり、弾いて見せて
突き出し[ライト]、弾き[つぶて]と、やってごらん」手応えに没頭しだす
それを見ていて「贔屓するなよ、俺達にも襲えろ」
「雄二君は踏み込み時に、加速するイメージ、「ターボ」だね、
後、能力的に「ステップ」が得意な筈、ダンスの要領で横や後ろに跳べば、
攻撃の幅が広がるよ」「お、おう、俺の事、解かってるじゃないか」
「俺は?」 「武史君はゲームやるよね、その中のマップ付きゲームの地図
イメージして、訓練場を見てごらん」「おー、四人の点が見えるぞ、すごい」
「イメージで、相手を敵、無害、味方と識別してみて」「できる、できる」
「防いでいると君は相手のパターンが解るようになる」「ありがて~」
皆に向けて手を振り、騎士や熱中する四人を残し訓練場を後にする』
カメラOFF
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