第6話
強制執行の日は12月20日午前9時に決まった。時期の厳しさも相まって僕は道子の行く末を心配した。民生委員は老人ホームへの緊急避難を手配してくれた。当日、民生委員も立ち会うことになった。
9時前には執行官とその補助員2名、立ち合いの警察官3名が揃った。執行官が道子に執行の旨を伝えると直ちに退去を命じた。補助員2名の男は黙って作業に取り掛かった、窓やドアに板を打ち付けはじめた、勝手な出入りを禁じるためだ。
執行官は再び道子に外へ出るように促した、道子は突然奇声を発すると抵抗するそぶりを見せたが民生委員の目くばせで、ため息をつきながら肩を落とした。執行官が道子に当面必要な衣類等を持つように言った。道子は観念したらしく民生委員の誘導でとぼとぼと歩き出した。補助員がドアを打ち付け、執行官が立ち入り禁止の法的な文書を張り付けると執行は終了した。
翌日僕は物件を確認しにきた。門は閉ざされドアは板で打ち付けられ家はひっそりとしていた。
僕は一段落した安ど感でゆっくりと車に戻ろうとした。その時放置された車の中に人影が、、道子が寝そべっていたのだ。僕は一瞬ぞっとした。
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