第30話 こんなパーティで大丈夫か?

僕の名前はクン・ディ・ツォ!


皆からは、クン、クンツォって呼ばれている。


やっと冒険の旅にでることが出来たんだ!



村を出て、深き森と言われる場所を抜けた先に小さな町【バル】がある。


まずは、そこを拠点にダンジョンを探索しようと僧侶のナルカさんの提案を受け。

僕たちは、町【バル】を目指す。


長い長い一本道が続く、道はもちろん舗装などされていない。大小様々な石が歩く度に足に突っかかり、足元を掬われる。

村を出てだいぶ時間が経った。


戦士は、先頭をぐいぐい進む。その後ろを僕は必死についていく。


女僧侶と魔法使いはだいぶ後ろのほうを息を切らしながらついてくる。


魔法使いは魔法のほうきで調子に乗って、マナを消費してしまっており。

いまにも死にそうな顔だ。


女僧侶は、村までは馬車で来ていたので歩くことに慣れていないのか、俯きながら、それでも黙って着いてきていた。


「おい!後ろの二人!そのペースだと森に入る前に夜になっちまう!」

戦士は、キラキラとした表情で後ろの二人に檄を飛ばす。


「はぁ~、これだから筋肉バカは……、すこしはこっちにペースを合わせなさいよ……。」


「ふふっ……同感です、頭も筋肉で、できてるんですよきっと……。。」


後の二人は小声で、文句恨み節を言っている。


「リョウくん、一旦そこの木陰で休憩しよう。」

僕は、そう提案した。


「うん?なんだ?勇者様ももうへばっちまったのか?」


「うっ……うん、そうだね。もうクタクタだよ。」

ここで、休憩しとかないと後で僕が何を言われるか分からない。


「ふん、軟弱だなぁ~クンは……仕方ない。少し休憩するか!」

そう言うと、戦士は背負っていた荷物を降ろす。

荷物は地面に置かれた時に、ドンと鈍い音を立てた。


「かなり重そうだけど……何入れてるの?」

僕は、気になって聞いてみる。


「うん?何ってこれだよ。」

そう言って、戦士は荷物の紐を解いて中を見せてくる。中には大量の砂が入っていた。僕は、見なかったことにした。



道の途中に生えていた一本の木の木陰で、僕たちは一時休息をとることにした。

各々、水筒を取り出し水分補給をする。


「いっ生き返る……。ねぇ、森まであとどのくらいなのナルカさん。」

女僧侶に魔法使いが訪ねる。


「そうですね、あと二時間ほどといった所でしょうか?森の手前には川が流れてますので、その近くで野営をしたほうがいいかもですね。」

少し休んだからか女僧侶の顔色はだいぶ良くなっていた。


たしかに、水筒の水はもうほとんど残っていない。川なら魚もいる事だろう。

持ってきた携帯食料だけでは心もとない。

に関しては、背負っていた荷物の中身があれだ。

僕は、この先が少し不安になった。これが、冒険に出るということなのだろう。


「そうだね、ゆっくりでもいい。確実に町につくようにしよう。」


戦士は、行く準備ができたら起こしてくれと砂袋を枕に寝ている。


「はぁ~、呑気なものね筋肉バカは……。」

豪快ないびきをかいて寝ている、戦士を指さして魔法使いは悪態をつく

「同感です。本当にこの人大丈夫なんですか?」

うんうんと頷きながら、魔法使いに同意する女僧侶。

「まっ……まぁそう言わないでよ。」

僕は、魔法使いも女僧侶も似たようなものだと思った。


二人が、僕の横で戦士の愚痴を言い合っている時。

木々の間の雑草がガサガサと動いているのに、僕は気が付いた。


「ねぇ―――二人とも……そこ、何かいるみたい……。」

僕は、二人に小声で話しかけた。


二人は愚痴の言い合いに、夢中になって僕の声が届いていない。


「ピギィッ―――!」

草むらからスライムが僕の横にいる二人に目がけて飛び出してきた!


「あっ!危ないッ!!!」


僕は、腰に携えていた短剣を抜き、立ち上がり二人の方へと駆けだした。














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