第26話 春夏秋冬②

僕たち4人は仲良し4人組。


下校途中に何者かに攫われてしまい。


目が覚めたら見知らぬ森の中だった。


近くに洞窟を見つけ、そこで助けがくるまで待つことにした。


涼宮 春すずみやはる


戸田 夏美とだなつみ


福石 秋人ふくいしあきと 


真鍋 冬矢まなべとうや


僕たちは同級生たちから春夏秋冬呼ばれている。



僕たちは洞窟に足を踏み入れた―――


中は風こそないもののひんやりとしている。洞窟は深いのか

奥から風が吹いてくる。


「風が吹いてるなんて、向こう側にも入り口があるのかも……。」

春はそう言いながら洞窟の奥を指さす。

「え~気になるね春ちゃん!」

夏美は、洞窟に興味津々のようだ。


「駄目だ、危ないだろう。入口の近くで暖をとって助けを待った方がいい。」

僕は冷静に答える。


「えっいいじゃねぇか?折角なんだし探検しようぜ!」

夏美が興味がある事を知った。冬矢は嬉しそうに話しに乗っかろうとする。


「絶対に駄目だ!!!」

僕は語気を荒げる。僕がしっかりしないと、危機的な状況であるという意識が

二人とも薄い。何かあったらどうするんだ。

僕に一括された二人はふてくされたのか黙って座り込む。


「ねぇ、秋人くん。言いすぎじゃない?」

心配そうに春が僕に声を掛ける。


「いいや、これぐらいでいいんだ。」

僕は、集めた薪を組みながら答える。


「冬矢、ジッポ貸して……。」

冬矢は、そっぽを向きながらジッポを投げてくる。

「ありがとう。」


僕は、借りたジッポを着けて火を起こそうとするが中々つかない。

それを見かねた夏美がぐしゃぐしゃになった紙を投げてくる。

「あっありがとう。夏美」

隙間からちらっと見えたがテストの答案用紙だ。まぁ点数は悲惨なものだが

赤点ギリギリの点数だ。

僕はそのくしゃくしゃになった答案用紙を薪の間にくぐらせるように置いた。

再び、ジッポを着けて今度は紙に火をつける。

火種はどんどん大きくなり答案用紙は着火剤の役割を果たしてくれた。


パチパチと音を立てて、燃え始める。


「温かいね……。」

気が付いたら僕の隣には、春がいた。とてもいい匂いがする。

「そうだね……。これならゆっくり寝れるけど交代で寝るようにしよう。」

僕は、そっぽを向いていた冬矢に言う。

「ねぇ、冬矢。さっきはごめんね。」

「ん……。いいよ……。」

ぶっきらぼうだが許してくれたようだ。

「ねぇ、冬矢。二人で火の番を交代でしよう。春と夏美は女の子だ。ゆっくり休ませてあげよう。」

僕の提案に、異論はないのだろう。冬矢は小さく頷いた。

僕たちは、明日に備えて寝ることにした。


「じゃあ、冬矢。先に火の番任せたよ。2時間後に起こしてね。」

「ああ……わかった。」



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