第18話 勇者!冒険の始まり!②

僕の名前はクン・ディ・ツォ。


皆からはクンとかクンツォと呼ばれている。


今から冒険の旅に出かけるんだ!



村の中央にある広場に僕は来ていた。


「よっ!クン!早いな~」


戦士のリョウくんが、後ろから声を掛けてくる。


「リョウくん、おはよう~これからよろしくね。」


僕たちはこれからパーティを組んで冒険に出かけるのだ。


「にしても、ミンのやつと僧侶様は遅いな……。」

リョウくんは、顔をしかめながら言う。


「そうだね、きっと女の子だから準備がかかるんだよ。」


「お待たせ~クン~!」


声が上から聞こえる。


「なっ!?飛んでやがる!?」


僕たちは驚いて、声のする方を見上げる。


「へへっ、これ自信作なのよ!マナで飛べる【魔法のほうき】よ~」

そう言いながら上空をぐるぐると旋回する。


「わぁ~!すごいね!ミンちゃん!」


「いやいや、クン。あいつだけずるくないか?」


上空をすごい勢いでくるくる回りながら、今度はこちらに向けて

勢いそのままで突っ込んできた。


「うわッ、危ねぇッ!」

戦士のリョウくん目がけて飛び込んできたと思ったら目の前で止まって着地した。

ぶわっと砂埃が舞う。リョウくんの身体は砂まみれになる。


「ふんっ、あら?いたのねポンコツ戦士」

砂埃をパンパンと払いながらミンちゃんは言う。


「ゲホッ、ゲホッ、この暴れ魔法使いめッ!おい!クンこいつもやっぱついてくるのか?」


「うん、だって僕たち前衛職でしょ。だから後衛で支援してくれる人がいないとさ……。」


「ぐぬぬぬっ、致し方ないか……。」

目を血走らせ悔しそうに唇を嚙みながらリョウくんは言う。


「ほっほほほほっ!ほら、クンはお利巧さんだわぁ~」

口元に手を当てながら、高笑いするミンちゃん。


「もう、二人とも喧嘩はやめてね……。」

僕は、呆れていた。


「あれ?そう言えば僧侶さんは??」

ミンちゃんはきょろきょろと辺りを見渡しながら言う。


「たしかに、一番規律に厳しそうな人だもんな。集合時間に遅れてくるなんてな……。」

それに同意するように、リョウくんは言う。


「クイーンッ!お達者で!!!」


複数の物凄い声が、酒場がある所から響き渡る。

酒場の方を見ると、大の大人達がおいおいと号泣しながら

一人の女性を見送っていた。

マスターに、村に滞在している冒険達だ。

見送っている女性には物凄く見覚えがある。


「あっ、いたよ。オリヴィエさん。」

僕は言う。


「どういうことだ?なんで酒場にいるんだ?」

頭を傾げながらリョウくんは言う。


「あ~やっぱり噂は本当だったのね……酒場のクイーン」

呆れたようにミンちゃんが言う。


酒場の入り口で、男たちに囲まれている女僧侶オリヴィエ・ナルカの

姿がそこにはあった。



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