第16話 勇者!冒険の始まり!①

僕の名前は、クン・ディ・ツォ。


村の皆からはクンとかクンツォと呼ばれている。


とうとう、しまった。



勇者認定されてから二週間が経った。


その間に、僕は冒険に出かける装備をおじいちゃんと一緒に

制作していた。


「うむ、中々良いのではないか?」


「ありがとう!おじいちゃん!」


僕は、自分で言うのも恥ずかしいがそんなに力が強くない。

戦士のリョウくんみたいに、力もないから大きな剣なんて重くて

もてそうになかった。


「うむ、クンよ。お主に身の丈にあった良い武器じゃ」

出来上がった武器を見ておじいちゃんが嬉しそうに頭を撫でながら

褒めてくれる。

厳しくも優しいおじいちゃんだけど、心配してくれてるのが伝わる。


「ありがとう、おじいちゃん。」

僕は出来上がった剣。長くもなく短くもない。ショートソード。

それと、硬い大木から切り出した木材を組み、鉄の枠で整えた。

小さな木の盾、バックラーを身に着ける。


「うむ、良い。さまになっておるぞ……。」


孫の旅たちを嬉しくも寂しく感じているのかおじいちゃんの目には

うっすらと涙があふれていた。


「おじいちゃん……。僕!頑張るね!」


「おぅ…おぅおぅ…、クンよこれは祝いじゃ……。」

袖で堪えきれなくなった涙を拭きながらおじいちゃんは奥の工房から

大きい木箱を取り出した。


「おじいちゃん?これは?」


「おお、これはな……お主の父親に若い時、見繕ってやった防具じゃ」

僕の父親と母親は冒険者だった。

父親は戦士。母親は魔法使い。

二人で組んで白銀級冒険者と呼ばれるまで昇り詰め

王都の冒険者たちの憧れ的存在だったらしい。


「お父さんの、若い時の……。」

僕の両親は、幼い時に亡くなっている。

原因は、おじいちゃんに聞いても教えてはくれなかった。

白銀級とまで言われる、実力者の両親だ。

きっと大冒険の果てに、亡くなったに違いない。


「クンよ、悲しむことはない。お主の成長を天国で二人も喜んでおる。」

おじいちゃんは、おいおいと泣きながら僕を撫でる。


「うん!全然寂しくないよ!だって僕にとっておじいちゃんとこの村があるから!」

寂しくないといったら噓だけど、おじいちゃん、優しい村の人たち、幼馴染たち。

僕はこの村が大好きだ。だから前に進めるんだ!


「おじいちゃん、この革の鎧。大事に使うね!」


「年季は入っているがのぉ、毎夜手入れをしておったし、何よりそれは特殊な素材で出来ているからクンを助けてくれるだろう」


「えっ!おじいちゃんこれ何の素材でできてるの!」

物凄く、気になる事を言われて僕は気になって仕方がなくなった。


「秘密じゃ……。」


秘密にされてしまった。




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