第4話 勇者誕生!③

僕の名前は、クン・ディ・ツォ。


村の皆からはクンとかクンツォと呼ばれている。


右手の甲に浮かび上がった勇者の印。

その話を幼馴染の戦士リョウ、魔法使いミンに話したら

二人とも驚いて、ミンちゃんは勇者の手引きなるもので色々教えてくれ

リョウくんは、村長の家へと走って行ってしまった。


僕はどうなるんだろう…。



数日後、村に聖勇者教会から僧侶が派遣されてきた。

村の真ん中の広場に集まる村人たち


「村の皆様、初めまして私、聖勇者教会より派遣されてきました。

オリヴィエ・ナルカと申します。どうぞお見知りおきください。」


白い装束に、勇者の印と同じ文様の被り物。

聖勇者教会とは、建国の祖である勇者クン・ディオを崇めている教団だ。

この世の魔と呼べる存在を忌み嫌い。厳格な教えの元。

秩序と平和を合言葉に、活動しているらしい。

正直、僕は宗教というものには興味はない。

だけど派遣されてきた僧侶は僕とあまり歳のかわらない。少女だった。


「おお、ということはクン件だな。」

「この村に、勇者が現れたのか……ありがたやありがたや」

「あのお姉ちゃん可愛いね。」


村人たちは、ざわつきながら口々に僕の名前を出す。

僕は村の広場で、顔を真っ赤にしながらうずくまっていた。


「おいっ!クン主役はお前だろ?行って来いよ」

リョウくんは笑いながら僕の肩を叩く


「クン?大丈夫?一緒に行ってあげようか?」

ミンちゃんは、僕の頭を撫でながら心配してくれている。


「大丈夫…。僕……行ってくる。」

僕はおぼつかない足取りで、僧侶の傍まで歩き出す。


「おっ、クン!いや勇者様!」

「おおっ、勇者じゃ勇者じゃ!」

「お兄ちゃん頑張って!」


村人達から沢山の声援を送られる。


「おや?貴方様が今代の勇者様ですか?」

威厳に満ちた風貌からは想像がつかないほどアンバランスな

少女。目鼻立ちが整っており、その吸い込まれるような瞳に

僕は目を離せなくなっていた。

「はっ…はぃ。そのよう……でつ。」

緊張から言葉尻もたどたどしくなってしまった。


「ふふっ、可愛らしい勇者さんですね。それでは右手の甲をお見せください。」

透き通るような白い手が僕の右手に触れる。

「そんなに、緊張しないですぐ終わりますから。」

顔がアツい。手も足も震えている。

「はぃ…よろしくお願いします。」


僕の手を取ると彼女はそれを天高く掲げる。


「建国の祖、クン・ディオ様!この者、勇者の印が発現せし者。」


「そして、祖と同じくクンの名を授かるもの―」


僕の右手が薄っすらと赤く発光し始める。


「この者を、勇者と認め。世の秩序と平和をもたらさんことを!」


右手の発光がだんだん強くなっていく


「今この時をもって、勇者クン・ディ・ツォの誕生でございます!」



村を包む赤い光。


村人たちの歓声。


昔見た、絵本の勇者と同じ印。


僕はこの時を持って、勇者になったのだ。


僕はこれから勇者クンツォと呼ばれるようになる。

それは、また別な機会にお話ししようと思う。

              勇者の手記より

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