◆高校生編

第14話 異世界生活キター!①

放課後、帰宅部の俺は颯爽と下校する。


俺の名前は、藤堂光とうどうひかる高校2年生。


趣味はネトゲ、マンガ、アニメ鑑賞。


もっぱら、異世界ものにハマっている一般的な高校生だ。


日々、何か面白いことがないか模索もさくしている。




「あっ今日は、新刊発売日だ…。近くの本屋に寄って帰ろう。」


最近、ハマっている小説【勇者と魔王!なんかより転生者人生二度目の俺の方が強い説!】というのにハマっている。


「いやぁ、転生したらモブだったとか、オーバーデスマーチとか、異世界物は本当に種類が多いけど、面白いから読むのとまらないんだよなぁ~」


"何者にもなれない、何に成りたいかもわからない―――"


こんな多感なお年ごろな、高校生なんて世の中ゴロゴロいるよ今。


こんな一人語りが癖になったのも、憧れの影響だろう。


「さてさて、行くとしますか―――」


駐輪所にとめていた。愛車のファルコン号じてんしゃに俺はまたがった。


「飛べよファルコン~♪行けよファルコン~♪」


風が心地よい、自作の歌を口ずさみながら踏み込むペダルは軽々と

目的地の本屋に向けてファルコン号と共に駆け抜ける。


はやる気持ちを抑えきれない。伝えたいこの思い。


「抑えきれない~衝動~♪伝えたい~ぁなたにぃ…。」


大声で自作の歌を歌いながら走り続けていたら、途中でおばちゃんに

見られ笑われた。途中で声がしぼむ。うつむく俺。


キキキキッッッ―――――!


俺は、急ブレーキで止まる。

ギリギリで気づかなかったら勢いよく穴に落ちる所だった。


「危ない、さっき笑われて恥ずかしさで下向きながら走ってたからなぁ……。」


目の前には、工事中の看板。


"配管工事のため、ご迷惑をお掛けします"


「この道を行ったほうが本屋に近道なんだけどなぁ……。」


迂回うかいすれば、いいだけの話だがこういうを俺は待っていた。


「へへっ、絶対こっちの道をいったほうが面白いでしょ!」


よく見ると、ガスか水道か電気か分からないが配管が穴から見えるだいたい

三メートルぐらいの深い穴だ。

横は狭いが道はあるし突っ切れそうだ。


穴に注意しながら俺は突き抜けることにする。


「行くしかないでしょ~♪」


俺はルンルン気分で、三角コーンに付いているポールを外しファルコン号を中に入れる。もちろん、ポールは元の位置に戻す。


「行くぜ~ファルコン~飛ぶぜファルコ~ン♪」


再びファルコン号のテーマを歌いながら、跨る。

ペダルに足を乗せ、漕ぎ始める。


「いくぜぇ~~~!!!滾るぜぇ~!」


向こう側に見える看板はだいたい100メートルぐらいだ。

一瞬で向こう側までつくだろう。


俺は、走り始めた―――――



自転車が加速する。


風が身体を突き抜ける。


「んんッ~気持ちい~~~!このまま走り抜けるッ!」


さらに加速する――――


漕ぐペダルに力を入れ走り始めたはずだった。


瞬間、目の前がゆっくりと感じる。


時がゆっくりと流れる感じがする。


動かす身体はスローモーションになる。


視界が歪みゆがゆらゆらとする。


眩暈がしてくる―――


吐き気もしてくる――――


「なっなんだこれ??りきみ過ぎたか……。」


歪む風景、先に見えていた看板が見えなくなる。


空間自体が曖昧あいまい変容へんようする――――


手足の感覚がなくふわふわと浮かぶような感覚。


目の前の景色が、一変いっぺんした。


と、同時に時が加速する。


「うぉおぉぉぉぉぉおぉ――――ッ!!!!!!」


止まらない自転車。


凸凹な道。大小様々な石に車輪が持っていかれる。


「やばいッ―――これッ―――やばいやつだぁあぁぁぁ!!!」


明らかにさっきいた場所とは違う場所にいる事には気づいていたが

止まらない自転車が脱輪して横転する恐怖が勝っていた。


「だっだれか――――助けてくれぇぇえぇぇえぇ!!!」


もう、死ぬかもしれないそう思った時。


長い耳をした、明らかにエルフな男が右手を天にかざしている。


「うわぁああぁあぁ、エルフだ生エルフだぁあぁ!」


実物のエルフを見れて興奮しているが、まだ恐怖が勝っていた。


「安心しろ、小僧!!」

エルフの男がぶつぶつと何かを呟いている。

「ウィンドウ!!!!」

そう言うと、俺の身体が宙に浮き始める。

ファルコン号はそのまま走り続け、大きな岩にぶつかりとまった。


「たっ助かったぁ~~~~」

俺は宙に浮きながら、命がある事に安堵あんどした。


「うむ、面妖なやつ。あの鉄の馬といい……迷い人か?」

首をかしげながら思考しているエルフ。


「あっあの~そろそろ降ろしてもらえますかぁ~」


俺は、まだ宙に浮きっぱなしだ。


「おっと、すまない。」

そうエルフが言うとゆっくりと俺は地面へと着地した。


「あっあの、ありがとうございます!助かりました!」

すぐさま、エルフの元に駆け寄りお礼を言う。

初の生エルフ、本当は女の子と出会いたかったが……


「おう、危ない所だったな……。とりあえず助かって良かった。」


「ええ、助かりました!あのぉ~エルフですよね?エルフさんですよね!」


「あっああ、私はエルフで間違いないぞ。だがしかし……いやだからか……。」

また、考え込むエルフ。


「どっどうかしましたか?」


「いや、君が迷い人だからなのだろうな……人族ひとぞくはあまりエルフを好まない。何しろ国同士が今、敵対しているからな。だから……その新鮮だったのだ。」

そう言うと、頬を赤らめるエルフ。

いやいや、頼むから男とのフラグだけは立たないでくれ……。

とりあえず話題を変えなければ……。


「いやぁ~本当助かりました!迷い人って事はここは別な世界ですか!」

気になる事を質問攻めにすることにした。


「うむ、まぁ迷い人からみたらそうなるかな?」


ビンゴ―――――!!!


ここ異世界!


夢にまでみた異世界だ!


「異世界!まじで異世界だぁー!異世界キタ――――――ッ!!!!!!」


転生ではないけど、俺。藤堂光とうどうひかるはとうとう異世界にやってきました―――――!














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