◆サラリーマン編
第11話 巻き込まれた男、達男①
私の名前は、
日本という国の、中小企業で働くどこにでもいる中年サラリーマンだ。
気が付いたら、見知らぬ森の中にいた―――
◇
朝の
寝室の机に置かれているクアリウムで飼っているグッピーに餌をやり
昨日のうちに朝炊き上がるように設定しておいたご飯、作り置きの味噌汁に火を入れ
冷蔵庫の中に入っている。残り物の焼き魚を電子レンジで温める
コーヒーはインスタントで十分だ。
それを準備できた順に流れるようにテーブルに並べていく。
「やはり、朝食は和食に限る……」
「ああ、朝刊を読まねば……」
ポストに
それを手に取り読みながら食事をとる、これが私の
「
目にするネタはこれといって代わり映えしない。政治家の汚職、地域のコラム
テレビ表、スポーツ記事。
「ん?―――集団失踪?」
いつもと変わらない記事の中にいつもなら気に留めないがそんな記事があった。
「しかも近所の学校か……」
私の住んでいる家から近い高校の生徒6名が、放課後から消息を絶ったという記事だった。
非常に事件性が高い、事件に巻き込まれてしまったのだろう。ここは田舎というほどでもない。ある程度のインフラが整っている。山や海が近いなら、
「まぁ、私には無関係な話だ……。」
そうこうしている内に、出社の時刻が迫っていた。
「おっと、急がねばいけないな……。」
早々に
◇
朝の少し肌寒い空気が身体に染みる。
朝焼けが今日は
「日々の疲れが溜まっているのかも知んな……」
そんな事をぼやきながら私は、歩き始める。
すれ違う、高校生達。
今朝の新聞の学生達だ。私が記者なら声を掛けて取材させてもらうのだろうな。
こんな
「ふっ……間違いなく不審者だ。」
いつもの通勤
いつもの――――――
「なっ!?」
目の前には、工事中の看板。
"配管工事のため、ご迷惑をお掛けします"
私の正規ルート、通称ゴールデーンロードが塞がれていた。
「こっこの道じゃないと間に合わない……。」
迂回ルートはいくつかあるが、この道を使わなければ
今からでは電車に間に合わない。
「私のルーティンの1つ、無遅刻伝説がこのままでは……」
私は、
一日中それが気がかりで仕事が手につかなくなる。
「いくしかないか……いくしかない……やるしかない……」
工事中の看板と、三角コーンとポールで塞がれた道を私は乗り越えた。
目の前には配管工事の途中であろう、ぽっかりと穴が開いていた。
恐らく昨日の大雨で途中で中止になったのだろう。
通れる道は、少々狭く感じるが人二人分ぐらいはある。
注意しながら進めば問題ないだろう。
これなら向こうまで、普通にたどり着ける。
私は、そう安心しきっていた。
安全性を
「大丈夫だ……問題ない……。」
と思ったのも
急に視界が揺らぐ、
「やばいッ……なん……だこれは……。」
身体の
目の前の視界が
「これは……何かガスか何か……漏れているのか……。」
配管からガスが
「おかしい―――。」
私は気が付いたら、倒れこむようにその場で気絶した。
◇
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