◆魔物編
第8話 仄暗いダンジョンの奥底で…①
暗く、じめじめとして、何もない洞窟にポツリと
ただ気が付いたらそこに存在していた。
手には赤い
”ダンジョンマスターよ、勇者達を滅せよ…”
我はその言葉に従わなければならない。
我の存在はそのためにある。
何者でもない我はこの瞬間、ダンジョンマスターとして
”勇者を滅し、魔物達の王となれ…”
再び声が頭に響く…
目の前の
「形から入るがよかろう…」
我は、瓦礫から集めたガラクタを組み合わせ、
王たるものは、王冠を頭に被っている、何故か我にはそう思えたのだ。
そして、薄暗い洞窟の奥で我は一人呟く、声に意志を込めて
「さぁ、勇者よ掛かってくるがよい…、我の力見せてやろうぞ!」
◇
「ふむ、
我は一人、
正直
「まずは、一人では何もできぬ…。はてどうしたものか?」
首をかしげながら思考してると、頭に声が響く。
"祭壇を洞窟の奥に用意した。そこで祈りを捧げよ…"
「うむっ、神の声に従うのが
我は、
「ほぅ、これはまた……。」
洞窟の奥は我が生まれ出た場所。そこには立派な
「これは、人の頭の骨かなにかか?」
我がそれに触れた瞬間。頭の中でまた声が響く
"マナを捧げよ……。さすれば力になろう"
「ほぅ、神よ。マナとは何ぞや?」
"マナとは根源、溢れ出る魔の根源たるものである"
「しかれば、どうせよと
"ふむ、今回は特別に与えよう……”
神の声は少し困った様子で答えた。
「おおっ、身体に力が漲る!これがマナというものか!」
"このダンジョンは、魔素であふれている"
「ふむ、なるほど……もっと詳しく教えを
"つまり、歩き回れ……魔物を召喚し
「歩き回るだけで良いのか?先ほども歩き回ったのだが?」
我は先ほども、この何もない洞窟を歩いて回ってみた。
だが、マナを感じることはなかった。
"物事には
「なるほど
"そうだ…、ダンジョンマスターよ…今この時から動き出せ"
神の声は少しイラついた様子であった。どうやら順序というのを
守らなかった我に原因があるのであろうな。
「ふむ、承知した。」
"では、今触れている
「我、召喚する。」
目の前の髑髏が青い炎をあげ燃え始める。
「おおっ、熱くみえるが熱くないぞ。」
不思議とその炎は触れていても熱くはなかった。
炎が消え、祭壇の周りに目をやると何やら
「ふむ、何やら
"スライムだ、おまけでもう一匹つけといてやる…。"
「ほぅ、こやつがスライム…。」
我の目の前に、ギョロッとした目玉を左右に動かしながら蠢く二匹の
スライムが現れた。
「どれ、触ってみよう…。」
感触は柔らかく、我の指を弾くぷよぷよとしており、指を離すと
指には粘々した
「うむ、今後触るのは控えておこう…。」
我は指を身にまとうローブで拭う。
"そやつらを良く使い。ダンジョンを完成させよ……"
「うむ、おおよそ理解した。」
これから、ダンジョン内を歩き回ったり召喚したりして、何もないダンジョンをダンジョンたらしめろと言う事のようだ。
◇
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