SHIBUYA TSUTAYA

 いま街のレンタルビデオ屋は絶滅危惧種だ。最大手のTSUTAYAとGEO、どちらの企業も実店舗経営からどんどん撤退していっている。個人経営のレンタルビデオ店って、今の時代にどれだけ残っているのだろうか。私はとりあえずここ十年は見かけていない。


 これだけ月額制の動画サイトで映画が見放題という状態になると、確かにレンタルビデオ店の存在意義はいささか失われつつあるのは間違いない。


 ただやはり私はレンタルビデオ屋でパッケージだけの情報を頼りに、映画をジャケ借りしていた世代なので(当時は映画の評価サイトもなく、本当に自分のシックスセンスのみである)、とても悲しいと感じる。


 とはいえ私だって、Amazon PrimeVideo、Netflix、ディズニープラスを常時契約し、必要に応じてHuluも契約しているし、配信で観れるものをわざわざ借りに行ったりはしないのだから、あまり実店舗維持してほしいとワガママは言えないのだ。


 だがしかしだ。


 年間百本以上の映画を特に苦も無く、「お前は今まで食べたパンの数を覚えているのか?」なレベルで映画を観ているような少々変態の域に達するようになると、観たい作品が配信にない事態は往々にして生じる。


 特に私は、好きな映画やアニメなどの監督や脚本家たちのスタッフトークを聞くのが大好きなのだけれど、彼らの影響を受けた映画を観てみようと探すとのだ。そして、下手をすると通常のTSUTAYAやGEOにも置いていない。


 そこで登場するのが映画好きの強い味方であり、渋谷のハチ公口から出て目の前に何十年と君臨する『SHIBUYA TSUTAYA』である。個人的な感覚であるが、SHIBUYA TSUTAYAに置いていない作品は概ね廃盤か、レンタル終了作品である。


 そんなSHIBUYA TSUTAYAさん、ここ数年新たな商売をしている。


 さぁ、なんでしょう。


 まぁもったいぶってもしょうがないので、正解を言いますと


 珍しい映画作品を『SHIBUYA TSUTAYAセレクション』と称して、どう考えも旧作なのに『』シールを貼って貸しているのだ。商魂たくましくて、素敵である。今後も頑張って実店舗を維持してほしい。


 TSUTAYAは、郵便ポストに投函すれば良い宅配返却サービス(オプションで200円程度※)もあるので、渋谷に行った際は是非SHIBUYA TSUTAYAに立ち寄って、『SHIBUYA TSUTAYAセレクション』棚から気になった映画を借りてみてはいかがだろうか。新たな発見があるはずだ。

※返却サービスの価格は2023年時点のものです。


 そうそう。忘れていたが、SHIBUYA TSUTAYAでは、いまはもう聖遺物アーティファクトともいえる『VHSビデオテープ』の映画作品も借りることができる。


「いや、ビデオデッキ持ってねぇわwww」


 と、思った諸君。安心してほしい。レンタルビデオ界の天才商人あきんどであるSHIBUYA TSUTAYA様は、そんな人たちに向けてちゃんとも行っている。

 なお、こちらは宅配で返却できないので、地方の方は注意されたし。


 最後に「SHIBUYA TSUTAYAたそは、さいつよなんだよ!」と長々と説明してきたわけだが、昨今TSUTAYAとGEOの宅配レンタルサービスは、閉店した実店舗から在庫をかき集めてきているのか、少し前までは本当にSHIBUYA TSUTAYAにしかなかった作品も続々と宅配レンタル商品のラインナップに加えられている。



 インターネットの発達で、大変に良い時代になったことは間違いないのであるが、やはり自分のシックスセンスだけを頼りにジャケ借りしていた頃が懐かしく感じてしまう。


 そんな懐古趣味のある私は、いまなお渋谷に用事でいった折には、やはりSHIBUYA TSUTAYAで、ぼんやりと数時間ジャケを見ては、掘り出しものの映画を探してしまうのだった。

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