映画館という場所
あなたは、映画館で映画をどれくらいの頻度で観ますか?
年に数回、数年に1回という人も多いと思う。このエッセイを読んでくださるような映画に興味がある方は、月に1回くらいは行かれるのだろうか。動画サブスクが発達した現代では、映画館まで行って観なくてもいいかなって人も多いかもしれない。
ちなみに私はどのくらい行くかというと、週に2~3回は映画館で映画を観る。最低でも週1回は行っている。気に入った映画が上映されている間は、時間を作って毎日観に行ったりもする。
あまりにも趣味垢のTwitterで「今日これ観た」と劇場の写真を上げてたら、友人たちから「お前、映画館に住んでるんか」と言われたほどである。
今住んでるところも、不動産屋のお姉さんに「これは外せない要素ありますか?」と言われて、「そうですね……映画館に徒歩で行けるところがいいです」と答えて苦笑いされた。そして、ガチで徒歩10分以内に映画館がある場所の家に決めた(笑)
新しい映画館ができたり、映画館に新しい設備が入ると、行ける範囲の映画館であればいそいそと出かけて映画を観てくる。そして、とりあえず会員証を作る。500円から千円程度の年会費で映画館が少しでも潤うなら全然払う。
社会人となり多少なりとも自由になる金がある今となってはこのように映画館へ頻繁に通っても、別のところで節制すればいいか、となるが学生時代は本当にたまにしか行けなかった。
せっかくなので、初めて映画館で観た作品まで記憶を頼りに遡ってみよう。
今でも異様に覚えているのだけれど、親に尋常じゃないくらいねだって連れて行ってもらった映画がある。
『超少女REIKO(1991年)』
この作品に1ミリの興味もなかった父は、私の分だけ劇場でチケットを買うと「終わったころに迎えにくる」と言っていなくなった。なお、当時の私は10歳未満である(苦笑)現代ではありえない行為だが、昔は大らかな時代だった。
※この2年後、またしても父は『幽☆遊☆白書・劇場版(1993年)』を見たがった私を劇場に一人で残した(笑)
この一人でガラガラの映画館で、真ん中に座って光るスクリーンを見上げた体験は、私の人生の原風景として今なお強烈な影響を放っている。
ただ、残念ながら作品の内容は全然覚えていない。
(観月ありささんが主演だった記憶だったが、先ほど調べたら当たっていた)
私は、ほとんど一人で映画館で映画を観る。
誰かと観るよりも、一人で観る方が好きだ。
映画館の暗闇で、大きな大きな光るスクリーンを見る。
これほど幸せな瞬間はない。正直なところ、なんの作品がかかっているかよりも、映画館で光るスクリーンを眺めること自体が好きなのだと思う。
劇場といえば、新宿コマ劇場と日劇が閉館する際は、すっかり足が遠のいていたくせに、いそいそと感傷に浸りにラスト上映に向かったものだ。
新宿コマ劇場の思い出はなんといっても『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』だろう。すごい行列に並んでテレフォンカード付きの前売り券を買ったのを今でも覚えている。当時は中学生で、目の前の大人たちが綾波もアスカもどっちも買っていたのに、1枚しか買えるお金しかなくて悩んで綾波にしたけど、悔しくてしかたなかった。(そして私はその悔しさをバネに立派な大人げない大人オタクに成長したわけだが)
日劇の思い出は、『アルマゲドン』に『タイタニック』。当時は座席の予約システムなんかないから、映画を観るのに何時間も並ぶのだ! そして、座席にダッシュして良い席を取る。いまじゃ考えられないけど、それが普通だった。
日劇のラスト上映では、映写機でフィルム映画を回してくれた。いま映写機がある映画館はどれくらい残っているのだろう。
それこそ『ニュー・シネマ・パラダイス』ではないけれど、映写機でフィルム映画を観る体験というのは、なんとも「映画という娯楽が誕生した時代」を味わえて、エポックメイキングである。
京橋にある国立映画アーカイブでは、毎日フィルム上映をしているので、観たことない人は一度行って体験みるとよいかもしれない。
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