第28話 幸せ

翌朝

四井先生は相変わらず先生をやっている。

でもいつもの疲れた顔をしていない。

きっとrewriteの影響だろう。




「紅空、龍我島に旅行しに行こうよ!」


授業が終わり帰り道に俺はそう言った。


「いいけど急にどうしたの?」


「どうしてもその島に行きたいんだ!会いたい人もいるし…」


尊狗は元気にしているだろうか。

そんな気持ちになって不安でたまらなかった。

rewrite能力はもうない。

だから生きているかだけでも確認したかった。


「いいよ!もちろん行こ!」



翌日俺達は龍我島へと到着した。



ピンポーン


尊狗の家のインターホンを鳴らした。

誰が出てくるのだろう。


「はーい!」


ドアを開けたのは尊狗のお母さんだった。


「あら、尊狗の友達?呼ぶからちょっと待っててね!」


懐かしい。

この声…温かい気持ちになる。


ダダダダダ


階段を降りる音がする。

そして、足音が近づいてくる。


「誰だ?」


そうだ。

rewriteしたから記憶が無くなってるんだ。

でも生きている姿を見れて良かった。

そう思うと涙が止まらなかった。


「ヒロくん大丈夫!?」


紅空が背伸びをして俺の頭を撫でる姿がぼやけて映った。


「わるい俺が泣かせちまったかも」


俺は首をブンブン振った。


「また会えて良かったと思ったら涙が出てきたんだよ。」


ポンっと尊狗が俺の肩を叩いた。


「泣くな、俺の親友」


「えっ?」


驚きすぎて涙が止まった。


「何か初めて会った気がしないし、何故かわかんないけどその言葉がスって出てきたんだ、意味わかんないよな」


尊狗が笑った。


「良かったらこの島案内するよ、彼女さんもついてこい」


尊狗が俺に近づいてきた。

そして耳元で囁いた。

「幸せそうだな」と。

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