第25話 やらなければいけないこと

キーンコーンカーンコーン


授業が始まった。

四井先生がいつもと変わらず授業をし始めた。

俺は間違ってないと思いながら、この先生をrewrite能力を使って助ける計画を頭の中で考えていた。



授業が全て終わった。

帰り際、クラスメイトにさようならの挨拶をして、俺は先生のいる場所へと向かった。

先生はいつも授業が終わると屋上でタバコを吸っているらしい。

生徒は屋上禁止なのに先生は良いのかよと思ったことがある。


俺は屋上へと繋がる階段をゆっくりと登った。

これが最後のrewriteになると思うと少し寂しい気もする。

この能力は当たり前ではない。

非現実的なものだとわかっていた。

だからこそ手放したくはないという気持ちになる。

でもこの能力をなくしてまでやらなければいけないことだと思った。

失敗なんてしてたまるか。


ガチャ


屋上のドアを開けた。


「ここは生徒の立ち入り禁止だぞ。」


長い黒髪をなびかせ、タバコを片手に持った先生がいた。


「先生を助けに来たというかなんというか…」


「助けに来た?助けなんていらないけど。」


「苦しい思いをしてまで生きても、楽しいことなんか1つもないって思いませんか?」


「どうした?何か嫌なことでもあった?」


「嫌なことはありますよ。何度も経験しました。」


嫌なことを受け入れられなかった。

だから俺はrewriteしてきたんだ。

そして今もrewriteする。


「最後のrewriteですね。」

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