第22話 作戦
「どうしたの?キョロキョロして!」
「なんでもない!気にしないで!」
俺はそう口にして、紅空の手をしっかりと握りしめた。
もうすぐ事故の場所に辿り着く。
「今度は息荒いけど大丈夫?体調悪い?」
「大丈夫だよ!」
交差点を渡る。
ドクドクと心臓の音が自分に聞こえる。
キィーッ
「ヒロ危ない!」
また紅空は俺を突き飛ばした。
バンッ
「いててて〜良かった!私生きてる!」
紅空が生きている。
どうやら俺の作戦が成功したらしい。
数分前
「紅空ちょっとあのベンチに座ってくれないか?」
「いいよ!」
俺は紅空に目を閉じるように言うとrewrite能力を使った。
「rewrite能力を消費しますか?」
「消費する。紅空を幸運体質にしてくれ。」
rewrite本体は首を傾げた。
「不死身にしてくれと頼むと思っていましたが、どうやら違ったようですね。」
「ああ。不死身にしたら紅空は悲しむと思うから。」
「なるほど。そういう事でしたか…では紅空さんの書き換えを行います。」
そういうとあの白い空間から元の世界へと移動した。
そして、rewrite本体が紅空の隣にいた。
「それでは始めます。」
「ヒロ以外にも誰かいるの?」
「うん。紅空を救ってくれる人。目を開けちゃダメだよ。」
「うん…」
rewrite本体が人差し指で紅空のおでこに触れる。
紅空の体全体が光り出す。
「なんだこれは…」
「幸運というのは輝かしいものです。それを体に流し込むと馴染むまで光り続けるんです。」
「馴染むまで?」
「そうです。もう光が無くなってきましたね。この方は幸運と相性が良いようです。もうすぐ完了しますよ。」
rewrite本体は人差し指を離すと、紅空の指を触った。
グイッ
「指痛くないですか?」
「い、痛いです…」
「正常ですね。これで終わりです。」
rewrite本体はそう言うと笑顔になった。
初めて見た笑顔だ。
「残りは1回です。」
そう言い残しrewrite本体はふわっと消えた。
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