第16話 救えなかった

「俺を一旦殺して様子をみる、それで1ヶ月くらい様子を見る、紅空が死ななければその説が立証されて、誰かを殺せばいいってことになる、後はrewriteして俺が生きてる世界に書き換えればいい」


「でも…」


「あーそういうのダルいわ、ちょっと待ってろ」


そう言うと尊狗は家の方向へと走って行った。



「好きな人のことは何がなんでも守りきれって言っただろ?」


海岸に帰ってきた尊狗は俺の目の前でそう言うと何かを取りだした。


「尊狗それって…」


よく目を凝らしてみると、ナイフだった。


それに気がついた時にはもう遅く、ナイフは尊狗のお腹に刺さっていた。


波の音が静かに騒いでいる。


「俺のこの痛みを無駄にするなよ」


「何してんだ…頭おかしいぞ、」


「思い出した、ゲホッ…俺はヒロが死なないように世界を作り変えよう、ゲホッ…としたことがある」


口から血が流れていた。

俺はその光景を見てじっとしていられなかった。


「待ってろ。すぐにrewriteするから。」


「待て」


尊狗は俺の手を強く掴んだ。


「俺のrewrite能力、ゲホッ…はヒロを救う前に全て使い果たしたけど最後に、ゲホッ…この能力を紅空に渡すことが出来た、だからもしかした、、ら紅空が死んだのは、、、ヒロを救うためだったかも、、しれない」


「俺を救う為…」


「ゲホッ…ゲホッ…グォホッ…ヒロ生きろ」


その言葉を最後に尊狗は息をしなくなった。

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