第13話 独り者
俺は尊狗に今起きていることを話そうか迷っていた。
もしかしたら協力してくれるかもしれないと思ったからだ。
「お風呂上がったよ!」
お風呂上がりのいい匂いとともに紅空が部屋に入ってきた。
「おかえり!」
俺は紅空を抱きしめてそう言った。
どうやら俺は、紅空は生きている、ここに居ると実感を求めて抱きしめるようになっていた。
「そういえば、両親から連絡来た?」
「来てない。俺の両親はまだ海外で仕事してて、俺が居ないことに気が付かないから。」
俺の両親は1年に2、3回しか家に帰ってこない。
帰ってくる時は大体学校の面談の時とお盆の時期だ。
仕方の無いことだとわかっているけど、さすがに「進路のことは勝手に決めて良いからね」なんて言われると腹が立つ。
お金に困ることはなく生活できているけど、家ではいつも1人で寂しい思いをしている。
中学校の頃に帰ってきてほしいと頼んだことがあるけど、「じゃあヒロの誕生日に帰ってくるね」なんて言われて、俺の誕生日5ヶ月後だしと思ったことがある。
だから尊狗のように家族と一緒に暮らせてる人を見ると羨ましいと毎回思う。
紅空が一人暮らしだということもあり、よく2人で夜ご飯を食べていた。
俺にとってはそれが幸せを感じて、寂しい思いをしない唯一の方法だった。
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