第30話
『道中お気を付けて。困ったら直ぐに連絡を』
仕事の煙草休憩の時に優斗は茉由奈にメッセージを送る。
『了解。じゃあちょっと離婚してくるね』
茉由奈は新幹線駅までの特急列車でメッセージを受け取ると直ぐに返事を返していた。
「どうか問題無く無事に終わりますように」
優斗は喫煙室の窓から冬の雲を見上げながら茉由奈の事を願った。
それからは特に連絡も無くて時間が過ぎた。
『やっと着いたよー疲れた』
仕事が終わるちょっと前に優斗の携帯には茉由奈からのメッセージが届く。別に問題があった訳ではない単なる定時連絡で有るが、優斗はほっとして今日の残りの仕事もはかどった。
「さてとマユに一応メッセージ送っとくかな」
仕事が終わって帰るために車に乗り込むがまずは携帯を取り出してそんな事を語る。この事は日課となっている。
「おっとユウちゃんからだ」
自宅には茉由奈しか居なくて自分の片付けをしながら掃除をしていた時にメッセージの着信音が鳴って掃除機をジャンプして向かう。
『こっちも仕事終わったよー。石垣で会えないのが寂しい』
優斗からはそんな弱音と共に泣いている姿のスタンプが有った。
メッセージを見た茉由奈はニコリと笑いダイニングの椅子に座る。この部屋にずっと住んでいた時とはかなり表情が違う。
『あたしも会いたいなー。あの人も相変わらず居ないし、今日は結構片付けが進んでる』
返信にはそんな言葉と共に荷物に潰されているキャラクターのスタンプが送られていた。
『家に着いた。犬が待ってるけど石垣で待ってる人が居ない』
運転をしていて返せなかった優斗は家の駐車場で犬の視線を横目に返信。スタンプは死んでいるみたいなものを送る。
それからは二人共携帯を離す事無くずっと細かいどうでも良い事を話した。
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