第7話 ライバル?

「春斗くん怪我はしてない?」

「はい、ときさんありがとうございます。」

彼の名は山鞣刻やまなめとき

その人物は図書館の司書であり、春斗とお互い好きな本について話し合う中だ。

「春くんと名前で呼び合うなんてどういう関係?」

千隼は物音を聞いて近くにきていたのか、二人の様子を見ては顔をしかめた。

もしや仲良さげな彼らの様子が気に入らないのだろうか。

「どういう関係もなにも知り合いです。変な聞き方しないで下さい。」

春斗は相手の言葉を聞くと呆れたように返答すれば、刻へすみませんと頭を下げて謝罪した。

「大丈夫だよ。それより今日は友人と一緒だったんだね。」

「いえ、ただの先輩です。」

「そこは友達でいいじゃん!」

司書の彼はさして千隼の発言は気にしていない様子で話を続けると、二人のやり取りを見て微笑んだ。

「俺はこれからもっと春くんと仲良くなるつもりなんで、貴方には負けないですから!」

「ふふ、それは楽しみだね。」

千隼は春斗の冷たい対応にもめげずに、刻の方へ向き直るとライバル心をむき出しで話しかける。

それに対し相手は余裕そうな顔をみせ、にこやかに笑うので、千隼は子供扱いされたと思ったのかさらに不満げな表情へと変わっていく。

「じゃあ私はもう行くから、春斗くんまたね。」

このなんとも言えない状況をどうしたらいいかと春斗が考えていると、スタッフの女性が山鞣さんと呼ぶ声が聞こえ、彼は簡単に春斗にだけ挨拶をすればその場を立ち去ってしまう。

「なんなんだよもう!」

千隼は相手の態度にムッとしながら言葉を漏らすと、元いた席に戻り本を読み始めたのだった。


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学校一のイケメンに求愛されて困ってます。 雪ウサギ @yukiusagi-839

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