第6話 図書館
「春くんお待たせ!」
「おはようございます。」
翌日人が行き交うなか時計台の前で待っていると、白のインナーに茶色の半袖シャツに身を包んだ千隼が駆け足でやってきた。
学校以外で会うのは初めてで私服姿の彼はなんだか新鮮だ。
「あ、もしかして見惚れちゃった?」
「違います。早く行きますよ。」
相手は春斗の様子を見てなのか、嬉しそうな表情をして話しかけてくる。
まさか同性に対してそのような感情をもつわけがない。と思いながら彼は目的地へと歩き出す。
緑に色づいた街路樹の横を通り図書館へたどり着くと、慣れていない人でも読みやすそうな本のコーナーに向かう。
「これとか、この本はオススメです。」
「面白そうだね!読んでみるよ!」
春斗から勧められた本を手に取ると、千隼は近くの空いている席に座り早速読み始めた。
彼もその様子をみて、自分の本を探しに行こうと歩き出した時だった。
「邪魔なんだよ、ガキが。」
「すみません…」
前から歩いてきた図体のでかい男が春斗にぶつかり、こちらを睨みつけてくる。
尻もちをついた春斗が相手へ謝罪をしていると、一人の男性が近づいてきた。
「おや、図書館では静かにしていただけますか?」
白いシャツに黒のベスト、眼鏡にグラスコードをつけている人物は男へ注意をすると彼の手を取り立ち上がらせる。
この強面の男に躊躇せず声をかけるなんて、一体何者なのだろうか。
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