第4話 帰り道

「お待たせ!じゃ帰ろっか!」

「これ、ちゃんと持って帰って下さい。」

「ありがとう!」

少しの間仕方なく待っていると、制服へ着替え終わった千隼は嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。

喜ぶほど一緒に帰りたかったのかと春斗は疑問に思うも、忘れないうちに持たされていたスマホを彼に返して共に帰路へつく。


「あの、1つ質問していいですか。」

「いいよ!」

「どうして先輩は僕に付きまとおうとするんですか?」

そして春斗はせっかくの機会だからと、今まで疑問に思っていたことを相手へ問いかける。

そもそも知り合って間もない自分のところへ来ては、積極的に話しかけてくるなんてどういう意図があるのか理解ができないからだ。

千隼はしばらく考える素振りを見せると、おもむろに口を開く。

「あの時の春くんが可愛かったから、かな。」

「可愛い?」

「ほら、動物とお話してたじゃん!」

彼の言葉に、可愛く思われることなど心当たりがない春斗はさらに疑問を募らせる。

しかし飼育小屋での出来事を言われれば驚いて目を見開いた。

話しかけていたのを見られていたなんて穴があったら入りたい。


「誰かに言ってないですよね?」

「もちろん!俺と春くんだけの秘密!」

よく話す千隼のことだからもう誰かに言ったかもしれないと不安に思い恐る恐る相手へ尋ねる春斗。

彼はその問いに明るく返事をすれば、話していないことに春斗はホッと胸を撫で下ろす。

しかしなんだか弱みを握られてしまったような気持ちがして悩みは尽きないのであった。

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