第4話「一緒に暮らそう」
謎にあの人との関係が旦那さんに認められたから、それから何度も会った。遠距離だったから、そんな頻繁には会えないだろうと思っていたけれど、向こうから早い時は2週間、もしくは1ヶ月毎くらいに逢瀬を重ねていた。
私は、遠距離だし好き合っているし、離婚までは望まないから一緒に暮らしてはくれないかと提案した。だって、色んな景色を見て、経験をして、ご飯を食べて、やっぱりこの人の感性が、纏う雰囲気が好きだと思ったから。……もっと、近くに行きたいと思ってしまった。
流石に一緒に暮らすにしても、急には無理だろう。だから、半年後とか……、と提案すると凄く難しそうな顔をされた。そもそも、今は引っ越しするようなエネルギーも体力もないというのだ。リモートワークが主とはいえ、今せっかく会社に近いところに住んでいるのに遠くに行きたくないと。
……わかってるよ。でもさあ、信じてない訳ではないけど、夜の関係を結んだことがある男女が一緒に暮らしてるんだよ? しかも結婚してるんだよ? お風呂出た時とか、軽装で
私がおかしいのか、と思って元カノや友人に相談したが、私の考えはどうやらおかしくはないらしい。……まあでも、考えは人それぞれだ……。それに今、旦那ともう夜の生活も、ハグやキスもしていないと言っていた。でも……! 手が触れ合ったり、ソファーで肩が触れ合ったりする可能性はあるよな……?!
同じ時間に同じものを食べて、お風呂だって同じ湯に浸かるんじゃないか。無理だ。生理的に。しんどい。苦しい。どうしたらいいんだ、私が嫉妬しすぎなのか? 信用していないのか? ……ああ、無理だ。
感情が決壊して、泣き喚いてしまった。そしてあの人に伝えた。こう思っているから辛いんだと。好きな人が結婚していて、好きな人が夜の関係があった人と同じ屋根の下で暮らし続けているのは苦しいんだと。
……そう言うと、あの人は仕事だというのに急に私の元まで来てくれた。今から行く、と。驚いたと同時に、大事にされてるんだという思いで少し落ち着いた。
そしてあの人は言ってくれたのだ。
──わかった。「一緒に暮らそう」と。
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