引っ越しの朝
俺は地球統一政府への就職はチヤホヤされたいが動機だったけど、
あれ?何のために地球統一政府に入るんだろうか?
でも、地球統一政府に入るのは、昔からの夢だったし?
と、青春特有の悩みに明け暮れながらも、
俺は世界でも有数の大学の一角である
オハスタマサケン大学という大学の日本分校に通うことになった。
今は少子化が進んでおり、大学もどんどん統廃合されていった。
下位大学はすべて消え失せ、中上位大学も統廃合も余儀なくされてできたのが、
オハスタマケンサ大学だ。
名門のオポッサム大学やハービート大学なども、単体では維持できなくなるほど、少子化が進展したため、世界の上位大学も経営提携をしなければならなくなるほど、子どもを産まない。
さて、俺は東京のオハスタマサケン大学の分校まで来た。
今の授業は海外の学生とグループディスカッションを英語でするのが主流らしい。
正直、英語はあんまり自信がないしついていけないんではないかなぁ?
と不安になるところも大きい。
学生生活はスタートダッシュこそ重要。
昔の人も「始めよければ終わりよし」「終わり良ければ全て良し」
と言った。
この故事を分解してみよう。
はじめが良いならば、終わりがいい。
終わりが良いならば、全てが良い。
つまり、はじめが悪いならば、全てが悪いという格言で、
何事も最初が大事ということだ。
思えば、昔まいたアサガオの種も、
水を毎日やりすぎてしまったばっかりに、
芽がでなかったっけ。
種って、全部播いたら、必ず収穫できるんだ!と思ってたけど、
種は蒔けば、すべてが収穫できる訳ではないということをこの時はじめて知った。
こうして、俺は引っ越しの準備に明け暮れた。
母の幸崎恵実が俺に言う。
「今日の朝ごはんは?ちゃんと作った?ゴミは出してくれた?」
「ちゃんと作ってあげただろ?何言ってんだ。今日はゴミの日じゃないよ。お母さん。」
「そうだったわね。ちゃんと帰ってくるのよ。いってらっしゃーい。」
と、母は言う。
俺がすぐにでも帰ってくると思っているんじゃないか?
むしろ、不安なのは俺の方だ。
母さんも父さんも、俺がいなくても生活できるだろうか?
こうして、引っ越しの荷物を載せた列車に乗るために、
俺は家を出た。
しばらくは帰ってこないんだろうなぁと、
後ろに目を振り返りつつ、足は前に進んだ。
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