第7話 眠りの魔女、エマ

しっかり睡眠をとった僕は、体調が万全だ。やはりベッドでしっかり眠るのは体に良い。

 今日は大広間の掃除をしよう。おや、誰かいるみたいだ……。

 その女の子は長い髪をたたえて、ロッキングチェアに座していた。

「あのう……。ここの掃除をしてもよろしいでしょうか。それとも、後にしたほうが」

「……かまわないわ」

唇が少し開いて答えた。聞こえているのだ。

僕は、大広間の掃除を始めた。

 暖炉の掃除は一苦労だ。今は夏だから使っていないけれどほこりがたまっている。

「暖炉の掃除道具は一階の用具室に」

「雑巾ならイネスが縫い貯めたのがあるわ」

「窓が壊れているのなら工具箱に金具の替えが」

 ロッキングチェアの女の子は眠りながらも的確に困ったことを解決してくれる。

「あなたは、一体……」

「私はエマ。この館で一番……ぐう」

 本当に寝てしまった。僕は静かに毛布を掛けた。

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