第5話 毒薬の魔女、リリー

「……目が覚めた? なら起きて」

 館の、医務室のような白い部屋で目覚めた僕は、ポニーテールの女の子にせかされて起き上がった。

「これ、飲んで」

 白いマグカップになみなみと液体が注がれている。ホットミルクだろうか? いただくことにした。

「……いただきます」

 口にした瞬間とんでもないまずさに吐き出しそうになった。

「!?……これは、なに?」

「気付け薬よ……さあ、あなたはまだ看病が必要なんだから、出て行っちゃだめ」

「そんな、僕もう大丈夫ですよ……それに仕事をしなくちゃ」

「仕事? ああ、あなたは新しい家政婦さん?」

 ああ、この屋敷に来て初めて会話が通じそうだ。

「なら、わたしの実験に付き合ってちょうだい……わたしはこの館で一番ミステリアスな毒薬の魔女、リリーなの」

 毒薬だって? たまったもんじゃない! 僕は白い部屋から一目散に逃げだした。

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