第3話 紅茶の魔女、アリス

 マリッサに案内されてお屋敷のホールからほど近い部屋に入った。

 じゃあ私は魔法の研究があるから、といって帰って行ったマリッサに取り残された僕は、夕食の準備をすることにした。

 今日の夕飯はグラタン。昨日はエビフライ、おとといはカレーを作った。大きな屋敷だから人も多いだろうと思ってたくさん作っている。

「今日もおいしそうね」

 背後から声がした。振り返ると、カチューシャをした女の子が立っていた。

「食事の後に紅茶はどう? 淹れてあげるわ」

 せっかくのお誘いなのでお呼ばれすることにした。

 彼女の紅茶は本当に美味しかった。甘く、優しく、いい香りがした。

「なんだか、眠たくなってきた。この紅茶は一体なんという紅茶なんですか」

「それを言うわけにはいかないわ、だって」

 意識が遠のいてきた。女の子がほほ笑んだのを最後に僕の意識は途切れた。「私はアリス。この館で一番いたずらな紅茶の魔女だもの」

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