第22話 夢

「ん…あれ、ここは…?」


 目が覚めると前世の一人暮らしの部屋で眠っていた。


 ソラと異世界に行った事は全て夢だったのか…部屋を見て回ったが、ソラはいなかった。


「ただの、長い夢だったんだ…」


 部屋の静けさが嫌になって、いつも食べていた朝食も食べずに仕事に向かった。


 外の人混みを見るのはいつも嫌いだけど、今は人がいるだけでなんだか気持ちが楽だ。今一人だと夢のように自殺してしまいそうだから。


 仕事場に着いていつも通り事務仕事をこなし、いつも通り夕方に退社する。


 だが、いつもと違うのは早く家に帰りたいと思っていた気持ちが今は全くない。


 現実から逃避するように回り道をして帰ることにした。


 子供の頃に落ち込んだときに来ていた公園のブランコを見て懐かしさもありそこに座っていればソラと会えるんじゃないのかと淡い期待をしながら久しぶりに腰掛けた。


「懐かしいな…子供の頃一度だけソラをここに連れて行ったっけ…帰ってお母さんにビンタされて滅茶苦茶怒られたんだよね…」


 頬を擦りながら、思い出す。


 夢でもあんなに泣いてたのにこっちでも、泣き虫になってるんだな…涙が溢れてきた…


 うつむいて泣いていると誰かが前まで歩いてきた。


 涙で禄に前が見えないが、目の前に小さな男の子がいた。


「おねえちゃん、大丈夫?なにか嫌なことでもあったの?」


 男の子が心配そうに聞いてくる。


「う、うん…ちょっとね…」


 涙を拭って見ると、澄んだ白髪に翡翠ひすい色の目をした幼稚園児位の子供だった。

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