第13話 お引越し 後

 


 食事も終わり、ソフィーさんと食後の緑茶でホッと一息ついた所で、お店の商品について考えていた。


 食べ物類はバイセルさんに出したおにぎりとサンドイッチをメインにして、そこから他の商品を出していくので決定として、雑貨はソフィーさんの意見を聞いてみてから決めようかな。


 ソフィーさんにどういう物があると嬉しいか聞いたところ、依頼をしている中で一番面倒なのが夜や、魚を焼く時に使う火起こしだそうで、火打ち石を使って火を起こすけど時間がかかるから面倒だそうだ。


 一応魔導具に火を起こす道具もあるそうだけど、道具の物自体が高価なのと使い続けると中にある魔石が結構な頻度で空になって毎回交換しなくてはいけないので買う人は少ないらしい。


 魔導コンロもあったから流石にそういうのもあるか…


 他にパッと思いつくものはないらしいので、とりあえずは火を起こす商品と他の雑貨屋で見てきた類似商品を並べることにした。


 ネックレスや指輪、結構装飾品が多かったけど資産的にそんなに高いのは仕入れられないし…とりあえず人工宝石を使った装飾品を並べておいて買ってもらえたらその時考えよう…


 道具は、ガスコンロ、ランタン、懐中電灯、水筒、マッチ、チャッカマンetc... ランタンと懐中電灯はソーラーパネル付きを売ることにした。


 あんまりたくさん買いすぎても売れない時困るから全部1品ずつだけ買って店においておく。


 後はおまけで駄菓子コーナーを作っておこう。子供にも人気なら商売繁盛するはず…!


「ママ~このお菓子買って~、ついでにこのソーラーパネル付き懐中電灯も買って~」的な…!


 私は天才かなどと脳内妄想でニマニマとしていると、ハッと正気に戻ってソフィーさんを見たら若干引かれていたことにダメージを受けた。気をつけよう…


 そして商売で一番大事とも言える値段設定…他のお店で見てて魔道具は安くても金貨からになっていたから原価で売ると安すぎて逆に問題になりそうだしなぁ…


 ヨシッ、魔道具より少し安めに設定しておいてバイセルさんが来た時に聞いて問題なければその値段で売ろう! そうしよう!


 お菓子は子供でも買いやすいように一律銅貨2枚(20円)! おにぎりとサンドイッチも一律小銀貨1枚(100円)!


 お菓子で利益はあまり取らなくていいと思うし、おにぎりとサンドイッチは手作りだから元は取れるし計算も楽でいい!


「ソフィーさん、商品を決めたので並べるのを手伝ってもらっていいですか?」


「もちろん、お手伝いします。何をすればいいですか?」


「そしたら、これをあっちの棚に────」


 道具はソフィーさんに任せて、私はお菓子と惣菜コーナーの土台を作った。


 お店の準備も終わって、気がつくと日が夕暮れになっていた。


 お店の中もだいぶ暗くなってきたのでぶら下げ式のキャンドルスタンドに蝋燭ろうそくを刺して火を点ける。


 暖かい色でいい感じだけど、若干明るさが足りないように感じる…キャンドルスタンドを外してネットショップでLEDランタンを買ってぶら下げる。


 さっきよりだいぶ明るくなったしお店の角に4つランタンを置いたらすごく明るくなった!


「天音さん、このランタンは商品と同じものなんですか?」


「詳細は違うんですけど、明るさは一緒です! 商品のランタンは太陽の灯りに当て続けると使えるようになるけど、今使っているランタンは電池っていう魔石みたいなエネルギーを使って使えるようになる感じです!」


 説明後、ソフィーさんが感心した様子で、商品を見ているのを見て和んでいたところでカランカランとお店のドアにつけておいたウィンドチャイムが鳴った。


「こんばんは、夜分にすみません。商品の事前確認をしに来ました。」


「あ、ブランくん、こ、こんばんは! 雑貨と駄菓子コーナーは作り終えて、惣菜は明日作るからそれ以外の確認お願いします!」


 ソフィーさんがブランくんを見ると首を傾げていたので、紹介した。


「こちらは明日から働いてくれるブランくんって言います!」


「あぁ、お店で働く方ですか…そうですか…」


 紹介したけど、感じがしたが、ソフィーさんが何を考えているのかはわからないからとりあえずブランくんにお店の中について説明をした。


「内容はわかりました。可能でしたら、どれくらい売れたかなどを記しておきたいので、メモできる紙があると嬉しいです。」


「わ、わかりました! 用意しておきますね! 明日はよろしくお願いします!」


 目は髪で隠れて見えないけど、口は笑って「はい」と答えて帰っていった。続いてソフィーさんが


「私ももう夜遅いですし、宿に帰りますね。」と言ってお店を出ようとドアノブに手をかけていたら、カランカランとウィンドチャイムが勢いよく鳴った。


「うわっ!」


 ソフィーさんが扉に吸い込まれるように引っ張られた。


「嬢ちゃん! 無事か!」


 グレイさんが勢いよくドアを引いて入ってきた。


「グ、グレイさん!? 体調は良くなったんですか?」


「グレイ! こんな遅い時間にそんな大声だと周りに迷惑です! 後、急いでいても引っ張る力を考えてください!!」と何処に隠してたんだろうと思っていた杖が出てきてぽかぽかと叩かれていた


「わりぃ! 悪かったって!」


ソフィーさんがプクーっと頬をふくらませて怒っていたが、後の話を聞いてすぐに収まった。


「無事なら良かったぜ…ギルドに顔を出したら、ギルドでスタンピードが起きたって連絡があってな。この街の外れで被害が出てたって話だったから急いできたんだ!」



 スタンピード!?

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