コンタクトレンズ

第1話

　コンタクトレンズをつけたら誰の落とし物か分かるようになった。

　気づいたのは昨日、教室に落ちていた消しゴムにその人の名前が浮かび上がってきたから。

　その人に届けたらなんとピッタシ当たったのだ。

　そんな不思議なコンタクトレンズで、遊んでいたらある物を家のタンスで見つけた。

　西村と出てきた鍵だ。

　勿論僕のでも親戚のでも無い。

　誰のだ?

　僕は好奇心に駆られるまま思い当たる西村を調べた。

　友達に学校中、近所に至るまで調べたが誰一人該当しなかった。

　家に帰るとお母さんがいつものように“おかえり”と言ってくれる。

　それに“ただいま”と返し、洗面台に向かう。

　ふと鏡写しの僕を見て気づく。

　「何で、僕から西村って出てるんだ?」

　僕は落とし子だった。