第十話

鑑識の人は真っ先に外へと向かう。

どこから聞こえるのか音は鳴り続けている。

すると

「なるほど」

と声が聞こえた。

「ほら、上を見てください」

全員で上を見る。

半透明なトタン屋根を何やら歩いている者が

いる。

……猫だ。

猫が歩いている。

「そういえば、赤ん坊の泣き声が聞こえるとも仰っていましたね。

恐らく屋根裏で子猫を産んだんでしょう。

ご友人は精神的に相当参っていらっしゃったので、子猫の鳴き声が赤ん坊の泣き声に聞こえてしまったんじゃないでしょうか。

正しい判断ができなくなっていたのだと思います」


何てことだ。

怪奇現象だと思っていたことは全て説明が

つくごく普通の出来事だった。

「偶然が不運にも色々重なってしまい怪奇現象のようになってしまったのでしょうね。

心からご冥福をお祈りします」


「あの子、一人で悩んでたのね…

言ってくれたらよかったのに…」

そう言って大家さんは泣いていた。

俺も、もうちょっとちゃんと話聞いて色々

調べてあげればよかったな…

ごめんな、寂しい思いさせて。

そんなことを思いながらいなくなってしまった友人のことを考えていた。

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