第三話

それからというもの少しずつ奇妙な現象が

起きるようになった。

テレビを見ながらラーメンを食べようとしていたときだ。

机に器を置いた瞬間スーと誰も座っていない目の前の席へ移動したのだ。

突然テレビまでチカチカしだした。

本当にやめてくれ!

僕は慌ててテレビを消した。

ラーメンはどうしよう…

“これは私が食べる”と言わんばかりに

引き寄せられていった。

僕はラーメンを諦めて買い置きしていたパン

を部屋のすみで食べることにした。

こんな状態がずっと続いていたら頭がおかしくなってしまう。

そうだ!友達に一晩泊まってもらってこの

現象を見てもらおう。

幸いにもこの手の話が好きな友人がいる。


翌日、事情を説明すると目をキラキラさせて

「泊まる泊まる!じゃ、今日でいいよな?」

とすぐに決まった。

友人を招き入れるとあまりの古さにビックリしている。

「うわ、電気とかこれ昔のやつじゃん!

風呂とか新しいのに違和感ありすぎだろ」

確かに電気はかさかぶせてありドーナツ型の

電球が丸見えの紐を引っ張る昔ながらの

タイプだ。

備え付けだったからそのまま使っている。

「なんか起こりそうな部屋だよなぁ」

友人は怪奇現象が早く起こることを期待してずっと楽しそうにしている。

人の気も知らないで、とも思ったが、

誰かそばにいてくれるのは心強かった。

だが、その日に限って何も起こらないのだ。

足音もテレビも皿も大人しくしている。

結局そのまま朝になってしまった。

「何も起こらなかったじゃん」

友人は不満気な顔だ。

「いつもなら起こるんだって!」

僕は必死になって言ったが、友人は

「ふーん。俺帰るわ」と出て行って

しまった。

何で、こんな時は何も起こらないかなぁ。

僕も少し悔しかった。

いや、いやいや起こらない方がいいに

決まってるのだが…

友人が来てから数日は怪奇現象もなく過ぎて

いった。

もしかして、おさまったのかな?

そんなことを思って油断していたらまた始まったのだ。

今度は友人が指摘した電気が点滅するように

なった。

いい加減にしてくれよ、何で次々新しい

現象が起こるんだよ。

僕は半泣き状態だ。

引っ越すって言っても代金は両親が払うことになる。

あんまり心配かけたくないし…。

明日、神社で御札とか買ってこようかな。





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