第二話

新しい環境にも慣れはじめて大学でも友人が

できた。

不安に思っていた一人暮らしもなんとか

やっている。

今日も講義が終わり帰りに買い物をして

アパートへと帰る。

僕はまだ自炊ができないので食事は弁当や

ラーメンなどがおもだった。

弁当を温め食べようとしているとドアの

向こう側で何か音がする。

ミシ…ミシ…

誰かが歩く音に似ている。

お客さんかな?

二階には僕と一部屋あけて角部屋の方に

もう一人住んでいる。

僕の部屋の前を通り過ぎていったから角部屋

の人のお客さんだろう。

そう思っていた。

でも、ちょっと待って。

ここの通路はコンクリートで出来ている。

木の廊下を歩くような音はしないはずだ。

不思議に思っていると足音は突然聞こえなくなった。

聞き間違いだろうか?

とりあえず冷めないうちに目の前の弁当を

食べることにした。


あの日から妙な足音は時々聞こえるように

なった。

最初は気にしないようにしていたが、人数が

増えていってるような気がする。

僕は怖い話などがかなり苦手だ。

でも、足音の正体は気になる。

このままではずっと気にしながら生活しなければいけない。

ミシ…ミシ…ミシ…

また聞こえ始めた。

僕は思い切って音の正体を確かめるために

ドアを開けることにした。

心臓が飛び出そうなくらい脈を打っている。

ソッとドアを開いて周りを見る。

……通路には誰もいなかった。

何度も確認したが人は歩いていない。

いや、でも、音は聞こえる。

ミシ…ミシ…

背筋に冷たいものが走った。

慌ててドアを締め、部屋の奥で小刻こぎざみに震えながらパニックになっていた。

ここってもしかして、事故物件?!

でも、入居するとき何も言われなかったし、

大家さんも人の良さそうな老夫婦だ。

いや、よく考えてみたら建物は古いが

家賃は破格の値段だし、住み心地が悪いというわけでもない。

それなのに入居している人はごくわずかだ。

もしかしたら騙された?

優しい笑顔のおばあちゃん大家おおやの顔が浮かぶ。

あの人が嘘をついてるようには見えないが…

でも、人って裏があるし、入居者があまりいないから黙ってたのかも。

僕は怯えながらずっと考えていた。



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