物件
梅田 乙矢
第一話
僕はこの春、大学生になった。
親元を離れて何も知らない土地での一人暮らしは不安なことも多いが、夢のためにこれから大学での勉強を頑張ろうと思う。
まずは、住む場所を探さなくてはならない。
大学はとてもお金がかかるからあまり
両親の負担にならないようになるべく安い
アパートがいい。
でも、希望に合う物件がなかなか見つからず
とても苦労した。
やっと見つけた所はドラマなんかに出てくるような古びた木造の二階建てのアパートだ。
昭和時代に建てられたものらしく風情が
あるというよりは、正直言ってボロい。
でも、贅沢は言っていられない。
僕の部屋は二階なのだが、錆びた鉄階段を
登ると半透明なトタンの屋根がありコンクリートの通路は奥の部屋へと続いている。
部屋は住めないほど汚れているわけじゃないし、大家さんが言うにはお風呂やトイレは
新しくしてあるそうだ。
もう一つ、僕が気に入ったのはここには
住人がほとんど住んでいないということ
だった。
人付き合いがあまり得意でない僕には
ありがたい。
住む場所も決まったし早速引っ越そう。
荷物は最小限に抑えたつもりだが、部屋の
どこに配置しようか意外と悩んでしまって
時間を取られていた。
額にじんわり汗をかいて、かけている眼鏡が
さがってくる。
汗を拭きながら休み休みまた家具の配置を
考える。
やっと終わった頃には夕日が窓から差し込んでいた。
もうこんな時間か…夕飯の買い出しに
行かなきゃな。
僕は近所のスーパーへ買い物へ出かけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます