親友の恋

 『ダイキとユウタ』ってよくある名前の読み方だし、9年前の知り合い二人と偶然同じ大学に入る、ってすごく確率低いんじゃないかな、と心の中で葛藤していたら、ダイキくんの方が眉間に皺を寄せてこちらを見ているのに気が付いた。彼ははそのまままっ直ぐ麻衣の方に歩いてきて、目を大きく見開きながら、

「もしかして、麻衣ちゃん……相原麻衣さん?」

と、少し大きすぎる声で聞いてきた。

「そう……です、もしかして大くん?」

「そう!すごい偶然だなー、それにすごい久しぶり!朝は気が付かなかったけど、同じイベントに参加してたんだよね?」

「そうなの、私達、前日友達の親戚の家にお邪魔して、多分大くんたちと別の駅から来たの」

「だから会わなかったんだね。こんなキレイな子を見逃す訳ないもんな」

 さすがにこれくらいで赤くなる年ではないと思いたいけれど、なぜか耳の辺りが熱くなってきたので、急いで話を逸らした。

「みんな集まって下り始めてるよ。私達も行こう」


 新歓ハイクに参加して以来、麻衣は大樹、雄太と明日香の四人で会うことが多くなった。

 夏休みが始まり、ある日の夕方、麻衣と明日香はスタバでおち合って並んで座った。ウィンドウに映る明日香の華奢だが抜群なスタイルを見て、相変わらず綺麗だな、と思った麻衣は、横顔を見て少し驚いた。この親友の事をいつも誇らしいくらい美しいと思っているが、今日の彼女は、発光する向日葵の様に、輝くばかりに美しかった。

「明日香、何かあった?」

「え、何で?」

「なんだろう、いつにも増して綺麗だよ」

「え、何それ。化粧変えてないよー。でも今日は言っておきたいことがあるんだ」

ちょっと黙って、私の方をいつもの目力でジッと見て言った。

「雄太くんと付き合うことにした」

「いいんじゃない?」

 二人が多分お互いに好きなんだろうな、ということは最初の頃から分かった。雄太君は隠す様子もなかったし、明日香は珍しく、恋バナどころか雄太君の事さえあまり話さなかったので、きっとかなり本気なんだろうと思っていた。

「昨日、同じ科目取ってたから、授業の後で、付き合ってくれって言われたの」

「直球だねー」

明日香はこんなに美しいけれど、自分がモテるということを分かっていない。今までも、これでも分からないのか……というのは何度も見てきた。きっと雄太君は、直球以外は通用しないことが分かったのね。

「私ね、雄くんのこと好きだなって思ってたけど、まさか雄くんが私のこと好きだなんて思わなくて……。私、雄くんに相応しいのかって、考えたの。でもこれからお料理とかもっと覚えて雄くんに少しでもふさわしくなりたいって思うんだ」

彼女の外見から、こんなに真面目な優しい性格だと分かる人は少ないと思う。本当に綺麗な人は内面も綺麗だからそれが外に溢れ出るのかな。

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