第4話
おかしい……
私の携帯から、由香の情報もなくなっている。
アドレス帳、通話履歴、メール履歴、いろいろ調べてみたが、由香の連絡先だけ消えている。
私の携帯から、マネージャーと由香の情報を誰かが消したのだろう。
誰が?
何の目的で?
頭が痛い……
すべて、由香の仕業なのか?
私は、気分を変えるために、テレビをつけてみた。
火事のニュースが放送されている。
!?
私は目を疑った。
私の部屋が燃えている!!
よく似たアパートなのだろうか?
いや、テロップに表示されている住所は、明らかに私の住所であった。
「昨夜、〇〇〇〇アパートの一室から火が出て、近隣の住民が通報。火は1時間後に消火されましたが、焼け跡から、この部屋に住む、
え?
私の部屋が火事で燃えて、そして、私が殺されている?!
事態がまったく飲み込めなかった……
私、榛名美織は、今ここにいる。
では、焼け跡から発見されたのは、いったい誰?
火事で遺体が燃えて、それで身元がわからなくなったのであろうか。
それで、警察や消防が、住人である私の遺体だと誤認したのだろう。
とても怖いのは、殺されて放火されたという点だ。
私が殺される理由は?
そして、その遺体の正体は?
二日酔いで痛む頭を抱えながら私は考えた。
遺体は誰なのか?
まず、考えられるのが「由香」であった。
今日はまだ、由香に会っていない。
由香は昨夜、私の部屋に来て、私と一緒に飲んでいた。
私は酔いつぶれた。
その後、犯人は、私または由香を殺す目的で私の部屋に入ってきた。
由香を殺害後、部屋に火を放った。
この考えで謎なのが、なぜ私が助かっているのか、という点だ。
次に思いついた推理は、とても嫌なものであった。
私が由香を殺害して、自室に火を放ち、そして由香の部屋へと逃走した。
これが一番、辻褄が合ってしまう。
私が殺したの?
私が自分で火をつけたの?
しかし、いくら酔っていても、私がそんなことをするとは思えない。
第一、動機がない。
私は由香に対して、何ら敵意も憎悪も抱いていない。
高校時代から共に女優を目指してきた親友だ。
昔はケンカしたこともあったけど、ここ最近は何も心当たりがない。
そもそも、私の方が女優の仕事で忙しくなり、また、私の方が金銭的にも稼げているので、少なくとも私が由香に嫉妬するような点は何一つない。
そうか、由香の方には私を殺害する動機はある。
テレビドラマへの出演を果たした私に嫉妬して、部屋に火をつけた。
これは、動機として十分考えられる話だ。
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