揺れ始める魔界
第十級魔術“
この魔術は、みんな大好き我らがサメちゃんをもっと活躍させてあげたい!!という事で作った魔術である。
サメちゃんは元々海の中で行動できるように作られた魔術であり、天魔くんちゃんの様に空を飛んだり地上で戦闘するのに適していない。
しかし、それが水の中に変わればあら不思議。サメちゃん達は捕食者となりありとあらゆるものを食い尽くすのだ。
ならば、水を用意してあげればよくね?という事で考えられたのが、この
水魔術と黒魔術の複合魔術。さらに言えばサメちゃん達を魔改造しているので水の中限定とは言えど、天魔くんちゃんに匹敵するだけの強さを持つこの魔術。
攻撃範囲もバカ広く、街を1つ壊滅させる程度は容易であった。
それが例え、公爵級悪魔の街であっても。
うねる水の竜巻が、街の全てを破壊して水の中に消えてゆく。
サメちゃん達はその全てを食らいつくし、その中にはもちろん悪魔達も含まれていた。
彼らは突如として出現した水の中に誘われ、呼吸も身動きもままならないまま、サメという絶対的捕食者に飲まれたのだ。
そこに慈悲などない。あるのは、久々に活躍の機会が得られて楽しそうに遊ぶ(殺す)サメちゃん達だけである。
「........(主人!!主人!!)」
「おーサメちゃん。相変わらず元気がいいねぇ。どうだった?水の竜巻は」
「........(楽しかった!!)」
「それは良かった。これからもちょくちょく使っていこうと思ってるからよろしくね」
「........(はーい!!)」
ヒレをパタパタとさせて自身の感情を表現するサメちゃん。何度でも言おう。サメちゃんは可愛いと。
闇狼や黒鳥ちゃんなど、数多くの自我を持った魔術を生み出してきたが、やはりサメちゃんが1番可愛い。
ちょっと丸みを帯びたデフォルメされたサメちゃんは、本来のサメが持つ凶悪さが取り除かれて可愛いだけが残っているのだ。
マジでI〇EAのサメを参考にしてよかった。お陰で今となってはこの可愛さに癒され心のケアになっているのである。
性格も可愛いしね。素直で甘え上手。執事君とかサメちゃんをものすごく可愛がっているらしく、こっそり覗き見していたメイドちゃん曰く一緒に釣りをする仲らしい。
なにそれ見たい。すごく見たい。
執事君とサメちゃんが二人でのんびり釣りをしている姿とか、絶対絵になるし可愛いじゃん。
でも、俺が来るとバレるんだよね。魔力的な繋がりの問題で。
クソぅ。こっそり見たいのに........!!2人で仲良くしている空間は邪魔せずに、物陰に隠れて見たいのに!!
と、そんな馬鹿なことを思いながら俺はサメちゃんを優しく撫でてやってから送還する。
また後で遊ぼうね。
「サメちゃんはいつ見ても可愛いわね。甘え上手なのが流石だわ」
「うちのサメちゃんを嫌う子はこの世界には存在しないよ。さて、帰るか。村のことに関してはウルに任せてあるから分からないけど、まだ村人を移動させるのは速すぎるよね?」
「あ、あぁ。そうだな。流石に早い。まだ向こうも受け入れの準備が整っていないのでな。仮の家を作ってくださるという事らしい。なんでも、ウル様のご友人も手伝わせるとの事だ」
ウルの友人........?あ、師匠か。
ウルが村の悪魔達を除いて友人と呼ぶような人物は、俺たちが知る限りたった一人しかいない。
多分、師匠にもかつての生き残りを見せてあげたいんだろうな。次いでに、家の事も手伝わせようという訳だ。
師匠もなんやかんやウルには甘いし、きっと来ることだろう。
親父とお袋も、何となく二人の関係性には気が付いているだろうから、多少は気を使ってくれるはずだ。
「それにしても、大々的な宣戦布告をしてしまったな」
「ん?」
「え?」
「なんだ?気がついていないのか?悪魔の街........それも公爵級悪魔の街を滅ぼしたとなれば、王の耳に入らないわけが無いだろう?そして、王の配下である者達の街を壊したとなれば、それは明確な宣戦布告となる。人類の住む大陸では違うのか?」
........何も違わないですね。
むしろ、今の今まで認知されてないのがおかしなぐらいは暴れてるし。
自分の国で国民を滅ぼし、挙句の果てには街を消し去る様なやつが居たらどう思うか。
普通は宣戦布告と捉えられておかしくないだろう。と言うか、それ以外に思うこともない。
悪魔は弱肉強食が顕著な種族とは言えど、最低限の社会体系は築き上げている。
つまり、俺たちは真っ向から喧嘩を売ったのだ。
悪魔王君、遊びましょ(戦争じゃゴラァ)。と。
まぁ、いつかはやる事になっただろう。それが今であったと言うだけの話だ。
心理顕現を会得してから、何時でも悪魔王とやり合える準備は整えてきている。
話を聞く限りまだ俺一人で討伐するのは厳しいかもしれないが、エレノアと二人ならばなんとかなるだろう。
「上等。そろそろ魔界とも決着をつける時が来たってだけの話だ」
「ふふっ、そうね。再び大きな戦争を引き起こしただけの話しよ。全員ぶち殺せば問題ないわ」
「まぁ、悪魔王もそこまで浅はかな存在ではない。しっかりと調べた上で待ち構えるだろう。かの王は常に頂点であり、挑戦者を待ち続けるのだからな。あまりに遅すぎると向こうから来るかもしれんが」
要するに、まだ時間はあるという事か。なら、もう少しレベル上げをしてから挑むとしよう。
もうすぐレベル400に到達するんだからね。
待ってろよ悪魔たちの王。レベリングが終わったら、本気で狩りに行ってやる。
【
水の竜巻を引き起こし、その中でサメちゃん達が暴れ回る第十級複合魔術。サメちゃん達はアホみたいに強化され、水中に限っては天魔くんちゃんよりも高いポテンシャルを持っている。それが約50体程水の中をぐるぐると回りながら泳いでいるのだから、大抵の生物は巻き込まれた時点で死亡確定。
もちろん、逃げられないように中心部に引き込まれるようにされており、余程の強者でないと抜け出せない。
悪魔王ソロモンはその日、一人の強大な眷属が消えたことを察した。
若くして公爵級へと登り詰めた悪魔の気配。1度だけ顔を合わせただけで、彼はこの世を去ってしまったのだ。
「ほう。幼き公爵を何者かが倒したようだな。しかし、それは悪魔では無い。この私の権能を引きちぎった者か?いや、奴らがそんな事をするはずもないか。お互いに大きな傷を負ったしな」
裏切り者が暴れたのかと思ったソロモンであったが、その考えを直ぐに改める。
また戦争を仕掛けるにしても、いくらなんでも早すぎる。
兵力を失った彼らが再興するには、まだまだ時間が掛かるはずだ。
「となると、近頃この大陸で暴れ回る者達の仕業か。ハッハッハ!!愉快愉快。楽しみではないか!!どのような相手なのか!!どうせ近い内にここへと辿り着くはず。私は、好きなオカズは最後まで残しておくタイプなのだ」
悪魔王ソロモンは好きなオカズは、最後まで取っておくタイプである。
今でもその癖は治っておらず、今は亡き妻がよく作っていたある料理を作っては最後に食べていた。
味は妻には及ばない。しかし、それでも大好物であったのだ。
「ハッハッハ。久々に暇が潰せそうで何より。待つのは慣れている。あと数百年とか時間をかけられなければ、待ってやるとしよう」
ソロモンはそう言うと、今日は何を作ろうかなと思いながら近くにあった木の実を取って小腹を満たすのであった。
後書き。
この章はここまでです。いつも沢山のコメントありがとうございます‼︎全部読んでるよ。
やはりサメちゃん。サメちゃんが全てを解決してくれる。
そして、チューン、ドーンなビームを分かってくれる読者の方が多くてちょっと嬉しかったよ。
小説活動を始めて3年が経ちましたが(二日前に迎えてた)これからもよろしくお願い致します‼︎
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