スピノサウルス‼︎
という訳でやってきましたは、南の大地。
東、北、西、と来て次は南である。
そろそろ魔界を一周してしまいそうだな。
辺境伯級悪魔も倒したし、残るは侯爵級悪魔と公爵級悪魔と大公級悪魔の3つ。
そろそろ魔界の悪魔たちとの殺し合いも終わりが見えてきている。
元々はレベリングをするためにやってきたこの魔界。悪魔の経験値が美味しいからという理由でやってきた魔界であったが、随分と色々な出来事があったものだ。
初めての弟子ができたし、師匠の過去についても少しだけ分かった。
気がつけば、悪魔たちと一緒に生活し、出産祝いをしたり一緒に飯を食ったりもした。
いい思い出になったものだ。あと三つの爵位を持った悪魔たちをぶっ倒し、王を殺せば魔界での旅は一旦終わる。
その時まで、この魔界を存分に楽しむとしよう。
だからスピノサウルス!!早くお前を見てみたい!!
「何処かな何処かな〜」
「随分と機嫌がいいわね。そんなにスピノルに会いたいの?」
「ティノルスと同じく、絶対かっこいい魔物だからな!!そりゃ見てみたいだろう?」
「スピノルも可哀想ね。少し観察して面白がった後はあの世に行く運命なのだから。私だったら遠慮したいわ」
「俺もスピノルの立場ならご遠慮願いたいですね........と言うか、この世界に存在する魔物全てが同じ事を思ってるんじゃないですか?」
「それはそう」
ノリノリでスピノルを探す俺と、それを見て微笑ましそうにしつつも自分が同じ立場だったら遠慮願いたいと言うエレノアとデモット。
正直俺も遠慮願いたい。
魔物として生まれてたら、こんな出会ったら即死みたいな死神のいる世界で生き抜く羽目になっていたと考えるとかなり糞だな。
いや、その場合は俺が人間として存在していないから、魔物も平和な世界になるのでは?
........俺の中にいるもうひとつの魂が目を覚ましていたら分からないが。
俺がこの身体で産まれる前に宿っていたはずのもう1人のジーク。目を覚ます事とかあるのかな?
もし目を覚ましたら、何が起こるのかね?
ちょっと見てみたいような、見てみたくないような。
そんななんとも言えない気分になりながらも、俺は森の中を歩いていく。
スピノサウルスと言えば、ワニのような見た目をした頭とその背かなに生えて半円の背鰭が特徴的。
その見た目から、魚を食べているイメージが強く、魚が居そうな大きな川の近くに居るんじゃないかという事で、俺達は今川の横を歩いている。
一応森の中でもあるから、森の中を歩いているのも間違いじゃない。
「それにしても、とても大きな川ね。釣りとかしたらお魚が釣れるのかしら?」
「普通に凶暴な魔物が生息している可能性があるので、辞めておいた方がいいですよ。釣竿が壊れますし」
「そうなの?ならやめておきましょうかね。ジークが作ってくれた釣竿なんだし、大切に使いたいわ」
「壊れたらまた作ってやるぞ?」
「そういう問題では無いのよ。そういう問題では」
エレノアの言う通り、この川は滅茶苦茶でかい。
テレビでしか見たことがないので、正確な大きさとかは知らないが、多分アマゾン川ぐらいには大きい。
茶色く濁った水の中には、多くの魚がきっと住んでいることだろう。
そして、これだけ広い川ともなれば、もちろん魔物も生息しているはずだ。
ザパァン!!
どんな魔物が居るんだろうな?と思っていると、川の方から水が跳ねる音が聞こえてくる。
音が凄まじく、視線を音がした方に向けると、そこには体長5m程はありそうな超巨大な魚が飛び跳ねていた。
何あれすげぇ!!あんなクソデカ魚が川にいるんだ!!
「わぁ!!すごいわね!!おっきい魚だったわ!!」
「今まで見てきた川魚の中で1番大きかったな。あんなのが生息している川........間違っても水浴びはしたくないな」
「下手したら俺達が食われそうですもんね。まぁ、ジークさん達の場合は自分を餌にして釣りも出来そうですが」
クソデカ魚を見た俺とエレノアは大はしゃぎ。
最初は“全くジークったら”とお姉さんぶっていたエレノアも、この川の魅力にハマったのか少女らしい可愛い表情を浮かべていた。
やはり、デカいは正義なんだよね。デカいというのは、それだけで人々を感動させるのである。
ただし、虫、テメーはダメだ。
もっとかっこいい見た目か、愛くるしい見た目になっから出直してこい。
カブトムシやクワガタならかっこいいと思うんだけど、さすがに百足とか我らが人類の天敵はちょっとね。
ほんと、勘弁してください。絶滅して貰ってどうぞ。
「グギャァァァァァァ!!」
エレノアも無事、この川の魅力にハマったかと思った矢先、さらに森の奥から魔物の鳴き声が聞こえてくる。
お、今度はなんだ?と思っていると、俺のお目当ての魔物であるスピノルと特徴が酷似した魔物がこちらに向かった走ってきていた。
ワニのような頭と背中に生えた半円の背鰭。
俺の好きな恐竜の一つであるスピノサウルスだ!!かっこいい!!
「あ、スピノルですね」
「あれがスピノルなのね。実際に見ると結構変わった見た目をしているのね。その背中の鰭?みたいなのはなんのためについるのかしら?」
「一応、スピノルは水の中を泳ぐそうですので、魚のような背鰭の役割をしていたんじゃないですかね?」
「へぇ。陸でも水の中でも活動できる魔物なのね」
「うはー!!かっこいい!!見ろよエレノア!!超かっこいいぞ!!」
「はいはい。わかってるから、揺らさないの。確かにかっこいいけども」
異様にテンションの高い俺と、それに付き合わされて少し疲れた表情をするエレノア。
ここで嫌そうな顔をしない辺り、エレノアはいい相棒である。
呆れてはいるだろうが。
「グギャァァァァァァ!!」
「グギャァァァァァァ!!」
どうやらこちらにやってきたスピノルは、縄張り争いの真っ最中だったのか、2体で仲良く追いかけっこをしていたらしい。
少し体が大きい方のスピノルが敗走しているのかな?見た感じ、そうっぽいけど。
自然の厳しい世界を見られそうだと思っていると、逃げいた大きい体の方のスピノルが急に後ろを振り向く。
そして、大きく口を開けるとその口の中に魔力の濃い反応を感じた。
お、これはもしかして........
ピュン!!(口からレーザービームが放たれる音)
シュッ(レーザービームが地面に線を描く音)
ドゴォォォォォン!!(時間差で爆発する音)
うはぁ!!かっけぇ!!
俺の好きなビームの演出じゃん!!
地面に線を書いた後にその部分が激しく爆発するやつ(語彙力)。
分かるかな?分かってくれるかな?
あの演出かなり好きなんだよなぁ。やばい、このスピノル、俺の好きな所を完璧に抑えてやがる。
「な、なぁエレノア。一体ぐらい持ち帰って飼ってもいいかな?」
「ジーク?頭でも打ったの?急にどうしたのよ」
「いや、だって!!あんなにかっこいいビームを撃ってくれる魔物とかちょっと欲しいじゃん!!かっこいいじゃん!!」
「デモット、ジークが壊れちゃったわ」
「いや、割と最初から壊れてますよこの人は。多分、ジークさんにとって刺さる部分が多かったんじゃないですかね?と言うか、魔術で作ればいいのでは?そしたら何時でもどこでも呼び出せますし、ジークさんの魔術ならば、あの攻撃も容易に再現できますよね?」
そうじゃん。別に捕まえなくても魔術で再現できるじゃん!!
デモット天才かよ。俺、今からピュンってなってズドーンのビーム作るわ。
実用性の事ばかりを考えて作る魔術が多かったし、偶にはロマン全振りでもいいだろう。
俺のテンションを爆アゲしてくれたこのスピノルには、特別に苦しまないように殺してやる。
後書き。
好きなビーム発表ドラゴン「シュッってなってからチュドーンってなる奴(語彙力)」
イメージは、ドラクエモンスターズの絶対零度とかそこら辺。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます