第11条「ユウジンー嬉し涙は、流すも良しー」
「ごめんなさいっ!!」
翌日、
開口一番に、
こうなると、
昨日、帰宅して
彼女に、事情を話した、と。
負い目を感じ、
彼女に
「……
どうか、
君に謝られるだけの
今の
「私には、
私怨と私情で、あなたを傷付けた!!
私の独りよがりに、身の程知らずにも、無関係なあなたを巻き込んだ!!
しかも、ただ
あなたの恐怖を、悲しみをっ!!
トラウマを、蘇らせてしまった!!
知らなかったからって、許される
私……私はぁっ!!」
座っていたベッドから降り、近付き。
「……許した。
今のが、罰。
これで、この件は不問」
「そ、そんなっ!!」
続いて、
「……じゃあ、追加。
了承?」
話す
そこまでして、
安心した拍子に、思わず深呼吸をする。
別に、酸欠になってもいないのを承知で。
「君。
ハルの
今度こそ、ガチで呼吸困難に陥りかける
こんなズバズバ切り込んでくるとは。
しかし。
ここで
今の
それまで、
そこまで、落ちぶれたくはない。
「……好きだよ。
人として、異性として。
……私は、女として。
男としての、ジン。
……ううん。
「なら
コスタイ」
「あー……」
あからさまに、
「
言えないのならば、別に」
「言うっ!
ちゃんと、言うからっ!
それ
そんな簡単に、無罪放免みたいにしないでっ!」
「……面倒」
「せめて、『難しい』って言って!?
そんな、明け透けに突き放さないで!?
っても今の私に、そんな
ツッコミつつも謝罪する
これでは、話が進まない。
普段ならともかく。
劣勢、咎人のままでは、てんで回せない。
そう悟り、打開策を練る
やや
この場は、開き直る
「……分かった。
今日の所は、なるべく罪悪感を覚えないようにする。
今、最優先すべきは、
だから、それについては後日、改めて済ませる」
「……?
別に、今のでも充分」
「私の、気持ち的な問題なのっ!!
お願いだからっ!!」
お願い。
それを受け、
「それは、友達として?」
「……へ?」
「友達としての、お願い?
なれば、
「
「別に、どこも不思議じゃない。
友達のリクエストには、応える。
それだけ」
「……待って?
……え、友達?
……
「?
「う、うーん?
……どーだろ。
確かに、同士だとは思ってたけど……」
「じゃあ、友達」
「『じゃあ』って、
そこ、イコールじゃなくない!?」
「しからば、定義は?」
「え!?
えと……
コイバナしたりぃ。
放課後、一緒にご飯行ったりぃ。
……とか?」
「最後以外、クリア済み」
「そうだったぁ!?」
生まれて、この方。
最近こそ、
どうせなら、同性の友人が、もっと
信頼を勝ち取る
それこそが、『リクエスト』である。
そこら辺の事情を、
ははーんと、
「そうだよ!
だから、喧嘩したら、きちんと謝らなきゃならない!
有耶無耶にするのは、違う!
そんな生温いのは、友達とは言わない!」
「
「
少なくとも今、私の中ではっ!」
「なれば、従う。
追って、謝罪されたし」
「ありがとぉ、
お礼言うのも、
「……難しい……。
一夜漬けで臨む受験より、難しい……」
「そこまでじゃないよ!?
無表情のまま、頭をグルグルさせる
……よく
そう思えてならない、
「で、ごめん、
議題は、『私が、どうして、
だったよね?」
「左様」
「分かった、話すよ。
ところで、
「デフォ」
「唐突な横文字!」
「短くて言い
よって、コスタイ。
ブイ」
「……そだね!」
一旦、思考放棄し。
「の前に。
そこ、体を痛める」
「ふぇっ!?
ちょ、あのっ……!?
お、おおお、
フェイシャルの少なさに反した好待遇に、困惑しつつ。
「……
「初耳」
「そっか。
まぁ、だよね。
あいつ、自分から弱み見せるタイプじゃないもんね。
少し前まで、常にガッチガチに塗りたくって固め捲ってたもんね。
その割には授業中、ノート取ると見せかけて、小説書いてるんだけど」
「中学の頃はさ。
あいつ、現代っ子らしく、スマホで書いてたんだ。
そしたら間違って、グループに、書きかけのをコピペ送信しちゃったの。
で、慌てて消去して、
……私以外は」
「運命……」
「かもね。
それ阻んだの、
「グサッ」
「口で言うんだ?
「どこが?
具体的に述べよ」
「しまった、そういうタイプだった、これタブーだったぁっ!!」
後日のタスクが、再び増えた。
「それはそうとして。
その後、
一瞬だけとはいえ、あいつの自作、読んでるし」
「……ストーカー?」
「それ、禁句っ!!
普通だからっ!
好きな相手とグループしてたら、特に会話してなくても!
定期的に張り付いたり、読み返したりするのはマナー、セオリーだからっ!!
意中の相手の
少なくとも、私の中ではっ!!」
「そーっ……」
「
そんな、分かり
セルフ効果音出しながら、物理的にメンタル的にも距離置かないでぇ!!
お願い、戻って来てぇ!!」
「ただー」
「いや、早ぁっ!!
口調の緩さに反して摺り足、
ガッシ◯のアー◯みたいっ!!
友達、便利っ!!」
「そーっ……」
「あー!!
ごめん、ごめん、もう言わない、便利扱いしない、
ほら! 二人だけでも、グループ作るからっ!
ねっ!?」
「必要性と、旨味と、今までとの違いが分からない」
「だよね、ごめん!
私も、言ってから思った!
じゃあ、ほら!
子どもの頃の
「いまー」
「おかー!!」
離れたり、急接近したり。
気分は
「で、本題に戻るけど」
「清聴」
「ありがと。
ところで、
「特等席」
「別に、
見晴らしも、座り心地も」
「お気になさらず」
「するよ?
気にするし、気になるよ?
あと、私の手を、シートベルト代わりに使わないでくれる?」
「……注文、多い。
キャパオ」
「普段どんだけ自由に過ごしてるの!?
どんだけ
あと多いのは、私の注文じゃなくて、
「ぷ、プシュー……。
プチシュー……」
「食べたいの!?
て、煙出て来た、わぁぁぁ!!
お、
しっかりぃぃぃぃぃっ!!」
情報過多により、熱暴走する
そのまま、
「……回復、完了」
「
ご、ごめんね、
あんまり、
「平気。
この程度で、
「うん。
私が平気じゃないから、へこたれそうだから、言ってるんだ」
「お
「
「ハルのが、面白かった」
「
またしても脱線しそうだったので。
「……で、ごめん。
どこまで話したっけ?」
「君が、ハルのストーカーだった件」
「そうだった。
ありがと、
それはそうと、その件に関しては、日を改めて、また話そっか」
「デート」
「そんなポジティブな感じかなぁ。
この際、それで
とまぁ、そんな
互いに
私としては、もう、告白チャンスだと思った
それを盾に取りつつ、あいつの趣味を肯定する。
そうすれば、一気にランク、ステップ・アップ。
晴れて私達も、カップルの仲間入りーと。
そしたら」
「そしたら?」
「あいつ全部、
メッセ消す感覚で、何食わぬ顔で、接して来やがった」
「ギルティ」
「ね!?
そうだよね、そう思うよね!?
あいつ、
せめて、『昨日の
それ
そう思うでしょ!?
「うぉう……」
「だよね!?
やっぱ私、間違ってないよね!?
しかも、朝イチ!!
迎えに行った早々にだよ!?
お
そんなん、知ったこっちゃないね!!
大体、あいつが悪いんじゃん!!
あっちが告白さえして来れば、こっちはいつでも、オッケーしたってのにさぁ!!
私だって、アプローチの一つ
「ど、ドードー……」
一気にブレーキの壊れた
そのまま、少し腕をブンブンさせると、落ち着いた。
「とまぁ、そんな
あー……私って所詮、その程度だったんだなぁ、って。
そしたらもう、どーでも
んで、高校に入ったら、クラスも別々になってさぁ。
これを機に、せめて、あいつに
そしたら私も、
だから、
でも……」
「……でも?」
「二人が、一向に煮え切らないからさ。
そしたら、こう……。
忘れてた本音が、ぶり返しちゃって……。
その果てに、その……。
……ごめんなさい」
「……?
つまり……嫉妬?」
「……お恥ずかしながら。
いや、もう、
自分から何年も宙ぶらりんでいた
……私って、
例えるならば、感情のフリー・フォール。
上がり下がりの激し
そんな、素直な彼女を。
「
「いや、うん、大丈夫、分かってるよ!
私
この前のは、ちょっとした弾みで!
今は、ちゃんと応援してるから!
「事情より。
「え!?
あ、うん。
そう、だね。
ごめんね?
それで、
バッド・ループに突入していた
そのまま、
「君に、頼みたい
「
「
「……へ?」
「
しからば、呼び捨てで
「いや、まぁ……。
そう、だけど……。
……
「大歓迎」
言いながら、す◯ざんまいみたいなポーズを取る
かと思いきや、そのまま
彼女を、ハグした。
「容疑者、確保」
「ぐっ!?
い、今は、刺さるっ……!」
「呼べー。
呼べー。
呼び捨てろー。
その方が時短、楽だぞー?」
「圧力っ!!
わ、分かった!
改めて、
えと……!
……『
「任せよ、『
表情や口調に反する賑やかさに。
思わず、
「次に、二つ目。
やはり『ナツ』は、
よって、返還する」
「え!?
いやいやいや!
気にしなくて
あんなの、一時の気の迷いでしかないって!」
「一時だろうと、
大切な友達が、迷っているのを。
「
再び、今度はゆっくりと近付き。
「……
謝るべきは、
ハルを……君の好きな人を。
そういう目で、見てしまった。
結果的にとはいえ。
君を、
……
でも……もしも、許されるのであれば。
……ハルと、付き合いたい。
彼の
けれど、
君の、『ハルへの好き』だって、尊重したい。
だから、『ナツ』を返す。
ハルを、
「
今まで、どこか適当にあしらっていた、利用していた
そんな彼女に、優しくされ。
素直に、思ってしまったのだ。
かなわないなぁ、と。
同時に、
「……言えるかな。
今更、私に」
「問題
「……えと、うん、大丈夫だよ?
私の方で、
「手出し無用」
「うん。
出そうとしてるの、
そして十中八九、
「??」
伝わらなかった。
なるようになるだろう。
多分。
「最後に、三つ目。
今、
「え?
うん。
知ってるよ?
っても、形式上だけどね」
「
昨日、『オリジン』、解散した。
だから、またしても無所属」
……。
…………。
……………………。
「えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇっ!?」
ここに来て、まさかのフリ展開。
思いっ切り劈いているので。
堪らず、
「な、
「
である以上、素通りは
でないと、アンフェア」
「そうかもだけどぉ!!
にしたって突然、急展開、生き急ぎ過ぎでしょぉ!?」
「杞憂。
これは、一時の
ハルにも、そう伝えた。
『一旦、解散しよう』と」
「それ、戦地とかで言う
こういう、センチな場面で使うフレーズじゃないじゃん!!」
「おー。
見事なライム。
パチパチパチパチ」
「ねぇ褒める
あと、そこじゃないよねぇ!?
てか、それ!
きちんと、期間限定だって、
「ボーッと棒立ちしていた」
「アァウゥトォォォォォッ!!
ヤバイって、マジで!!
あいつ今、
夏休みの最終日に、あんまりだよっ!!
明日、学校で、
現に、その通りだった。
「平気。
ハルは、そこまでヤワではない。
……恐らく」
「
私となんか話してる場合じゃないでしょ、普通に!!」
「
今の
「は?
ここまで敵に塩を送られて、従える
私、そこまで女も、自分も、捨ててないから」
急転直下。
(クラスのイメージする)
「ご、ごめん……」
「違うでしょ?
謝るべき相手は、
私に謝ったって、解決しない。
ほら。早く、連絡したげなって。
電話じゃなくて、メッセでも
などと、二人で
「……あ」
「あ……」
誤って、どちらかの指が、
『な、ナツ!?
ナツか!?』
秒で、渦中の
『ナツ、ごめんっ!!
俺が、全面的に悪かった!!
でも、どうか!!
もう一度だけ、俺にチャンスをくれないかっ!?
俺……このまま終わりだなんて!!
そんなの、
もっと、ナツと話したいっ!!
あわよくば、イチャイチャ』
「はいはい、そこまでー。
ピクリとも動かなくなった
『ゆ、ユウッ!?
「男子禁制」
『す、すまんっ!』
「分かれば
それより、ジン。
昨日のは、気にしないで
『……はい?』
「詳しくは、追って私から連絡する。
てな
今から2時間後に、学校ね。
場所は、私達の教室。
そこに、
はい、
『は……はぁ!?
どういう
てか、
「二人が、てんで頼りないからでしょ。
んじゃね」
一方的、強制的に電話を切る
そのまま、スマホを
「か、
「任せな。
残り時間で、ばっちり仕上げてみせる。
こんな
「
こうして、
二人のコーディネートにより、劇的にビフォアフし。
そして、
一つの答え、決断を迫られるのだった。
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