7.3
「次の皇太子は、あなた様です」
カロルが重々しく告げた。皇太子とは、将来の国王である。
クレアはじっと前を見たまま動かなかった。その表情からは、何を考えているのか全く読み取れない。
どうしても嫌なら、クレアも王位を辞退することができる。関係者の間では、代々国王家と仲が悪いエドバルト家の出身であることから、そうなる可能性が高いと推測する者もいた。
だが、カロルはこの三日間で、そうならないのではないかと考えるようになっていた。
今はショックで固まっているが、さっきまでのあの図々しくてふてぶてしい態度は、国王の器にふさわしいかもしれない。
王宮に仕えて四年、カロルにもそういう勘が働くようになっていた。
カロルは晴れやかに微笑んだ。
「今日はこれで失礼します。次は、次期皇太子殿下としてお迎えにあがります」
その笑顔を、クレアは貫くような目で睨みつけた。
辺境の最強女侯爵(へんきょうの さいきょう おんなこうしゃく) サビイみぎわくろぶっち @sabby
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