7.1

 朝食の後、クレアとカロルは応接室にいた。

 カロルが国王家からの親書を手渡すと、それを読んだクレアは不機嫌そうに言った。

「新国王の即位で、私の王位継承順位が5位に上がるって書いてある」

 実は、クレアは王位継承権を持っている。クレアの亡くなった祖母は、現在の国王の第二子なのだ。

 国王家とエドバルド家は仲が悪かったくせに、クレアの祖父と祖母は恋愛結婚していた。当時は周囲が大反対したという。

 パブロ王国では、95歳の現国王が半年後に退位する。

 次期国王は、現国王の第一子のグスタフ皇太子で、年齢は74歳である。

「国王家からの親書は確かに受け取りました。でも、本当はこれだけじゃないんでしょ?」

 クレアは探るようにカロルを見た。

「恐れ入ります。アンディ王女が外国に嫁がれることが、一昨日、決まりました」

「そう」

 これにより、クレアがたった今受け取った親書の内容には、さっそく変更が生じてしまっていた。

 アンディ王女は、グスタフ皇太子の第二子である。グスタフ皇太子の子供は、クロード王子とアンディ王女の二人だ。

「お相手は、王子と言っても本国での王位継承順位はかなり低いので、先方が婿に来てくれるように働きかけていたのですが、残念ながら…」

「失礼よ。でも、そうね。残念ね」

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