新2話

新Akumazon1.2a


ナユタ「私のお兄様は、バカな私のために臓器をみんな売っちゃったのよ」


ハルコ「ふーん、で?」


ナユタ「だからバカになるくらい必死に勉強したの、そして魔法を誰でもレンタルできるakumazonを立ち上げて、そして、世界中から寿命を吸い上げてお兄様を生き返らせた」


ヨウタ「そりゃよかった、あんたなりに頑張ったんだな、それはわかるけどさ、そのせいで俺のお父さんとお母さんは魔法で殺された、この世でもっとも最悪な死に方でな」


ロボタ「そのおかげで産まれたものもあったはず、それに魔法ではなく人間に問題があっただけのこと、論点をすり替えるなよ?」


ハルコ「は?あのバカのせいで、みんなおかしくなっちゃったじゃん、お母さんとお父さんがあんな死に方するなら、わたしは生まれないほうがよかったんですけど?」


ナユタ「そう、なら、わたしはバカでよかった」


ロボタ「…すまないな、悪い妹じゃないんだ」


ヨウタ「ああ、悪くねえんだろうけどさ、そもそも兄一人を生き返らせるために、世界中をめちゃくちゃにする発想ができる時点で、イカれてるよお前らは」


ハルコ「そういうこと」


ナユタ「ヨウタくんは、お兄様に似てたからお気に入りだったんだけどな…ざんねん」


ロボタ「顔はなるべくキズをつけないようにしますか?」


ナユタ「もういいや、いらない」


ヨウタ「…」


ハルコ「頭がイカれすぎて、私のお兄ちゃんをレンタルしたくなった?ふざけんのも大概にしろよ」


ナユタ「わたしバカだから、ごめんね」


ヨウタ「やっぱ殺そうハルコ、話にならない」


ハルコ「そだね、ちゃっちゃと殺ろ」


ナユタ「世界中のakumazon会員の寿命一年分を捧げよ」



場面転換

ヨウタ「それで俺はこうなったのか」


ハルコ「うん、臓器も寿命も全部もってかれた」


ヨウタ「akumazonのシステムに入り込んで、ライフポイントをマイナスにして、それを吸いとったロボタは弱体化して死んだ、ナユタは怒り狂って、俺の魂をこの人形にぶちこんだと?」


ハルコ「そういうこと」


ヨウタ「お母さんの作ったオムライス」


ハルコ「…」


ヨウタ「どんな味だったか、思い出せない」


ハルコ「…」


ヨウタ「あ、でもお前の好きな唐揚げを作るとき、油が散っても火傷しなさそうだわ」


ハルコ「やめて、面白くないし、頭おかしくなりそう」


ヨウタ「ショックか?こんな体になったお兄ちゃんは嫌か?」


ハルコ「嫌じゃないし、カッコいいと思うよ」


ヨウタ「そうか…さんきゅな👍」


ハルコ「やめて、泣きそう」 


ヨウタ「やっぱショックじゃん」


ハルコ「お兄ちゃんもいなくなって、私一人になったらやだよ」


ヨウタ「この体は長持ちするだろ」


ハルコ「壊れたらどうすんの?もう直してくれるとこも無いんだよ?」


バッテリー残量5%

ヨウタ「ハルコあのさ、急で悪いけど、今から映画館に行かないか?」


ハルコ「どういう話の流れ?」


ヨウタ「電車降りたらすぐのとこ、前にお父さんとお母さんとお前と一緒に見に行ったろ?」


ハルコ「…」こくり、と頷く


場面転換

ヨウタ「やっぱ映画にはポップコーンだよな」

ハルコ「味がしない」

ヨウタ「ホラー映画だしな」

ハルコ「しかも、B級のやつ」

ヨウタ「うん、お父さんこういうのばっかみてた」

ハルコ「泣かせにくるのやめてよ」

ヨウタ「そうか?俺は笑ってほしいな」

ハルコ「…」

ヨウタ「お母さんもそういうよ、ハルコの笑顔が一番のご褒美って」

ハルコ「うっ…ぐすっ…」

バッテリー残量1%

ヨウタ「ごめんな、これが最後かもしんないわ」

ハルコ「ハルコの寿命あげるから死なないで」

ヨウタ「無理だって笑、akumazonはもう俺たちが潰したろ?」

ハルコ「コンセントついてる?どっかない?」

ヨウタ「どうだろ、ふんっ!プスッ」

ハルコ「屁こくなよ」

ヨウタ「いやガスだって、ただのガス」

ハルコ「へへははは…」

ヨウタ「やっと笑った」

ハルコ「いいから続きみよ」

ヨウタ「ああ、そうだな」

ハルコ「…」

ヨウタ「なんか眠いな…ハルコ?」

ハルコ「…Zzz」

ヨウタ「…」


ヨウタ「昔もこんなだったなぁ…」

ヨウタは肩を寄せて眠りについた

映写機の光がいつまでも二人を白く包んでいた

カラカラカラ…ガチャン


ヨウタの全身義体は実は、他者の寿命を封じ込めるakumazon謹製の魂魄人形であり、スペアがないです

ヨウタはakumazonの脆弱性をついて、吸収されていくライフポイントがすべてマイナスの値になるように変更しました

それによりロボタを殺されたナユタは、ハルコにその苦痛を味合わせるために、ヨウタの残り寿命を、空っぽになったロボタの全身義体の魂魄人形に封じ込めます

バッテリー残量とは電気などではなく

akumazonの会員たちの寿命のライフポイントを捧げることで、魂魄人形である全身義体は動きます

そのakumazonのシステムサーバーは、ナユタとハルコのツノ付きの能力の矛と盾の最終決戦のなかで破壊してしまったので、当然、バッテリーの補給のしようがないです

ナユタは兄が途切れ行く命になれば妹は世界に絶望し、他者の寿命を奪い続ける非道を歩むことを期待してましたが

ハルコとヨウタはそんな素振りは一切見せず、二人は家族と行った思い出の映画館に向かい、ヨウタは残り最期の時間を、両親が好きだったB級ホラー映画を妹と見て過ごしてあげます

両親の最悪な死に方とはakumazonの魔法レンタルサービスを使って、父ツキタのレンタルサキュバスである、母カーチャを暴漢たちに奪われて殺されたことです

それを目の当たりにした父兄妹はこの世で一番酷い母の死に方を見せつけられたあと、寿命を快楽目的に使う殺人犯たちは、父のアニメが上映される映画館を破壊し、兄妹や漫画家の仕事に携わるすべての関係者や父を拷問にかけます

ヨウタはハルコを身を呈して守り、そのときツノ付きの能力を覚醒させ大量の神ノ盾を生み出し楯突く者を圧死させます

そのあと誰もいなくなった会場で、何もかも一瞬で奪われた兄と妹はakumazonへの報復を誓い、それを信奉する者や企業の護衛組織を殺し尽くしたあと、二人はナユタに最終決戦を挑みます

ナユタは既にヨウタとハルコが産まれた時点で、ツノ付きとして覚醒した二人がナユタとロボタを殺しに来ると予言しており、そこでロボタが空になった人形にヨウタを詰め込む最悪な死に方を用意します

兄ヨウタと妹ハルコは混沌とした世界から、普通の日常へと戻り、兄は先にその生涯を終えます

ハルコ「漫画を世界中に読んでもらってよかったです」

リン編集者「これで漫画家の父親も報われるね」

ハルコは亡き父の「ノストラダムス・ファミリー」の続編「クトゥルフ・チルドレン」を連載中

妹ハルコがいる世界は「千年結界」のパラレルワールドです

もう一度、兄に会いたいと願い、漫画を描き上げます、そして半分になった地球と半分になった地球とで、ハルコとツキタが互いの世界で展開した千年結界を合体させます

そして「家族会議」の真っ二つになる前の元の世界に戻り、人間と怪異、兄と妹、互いに鬼となることで失った家族の絆を取り戻し、「心春物語」の平穏な後日談が流れます

おわり

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