旧2話「社長ナユタと全身義体ケンジ」


旧Akumazonエピソード0.1z -The Last Dream-


すみません、この作品は気に入った部分があるので、ラストの300文字を描きます

「予言のナユタ」と戦う双子は「藤本タツキの学生時代に描いた女子高生とロボの絵」になります


ナユタ「ほら、きた」


ケンジ「?」


ドアを見つめる二人

バンッ!とドアが開く


ハルコ「やあ」

ヨウタ「やあ」


ナユタ「Akumazonプラチナ会員、寿命1年を私に捧げよ」

ケンジ「社長、それは」

ナユタ「ううん、お兄様は私に守られていれば良いの」

ケンジ「私はお兄様などでは」


ハルコ「お前らブラコンかよ、何プレイだ?」

ヨウタ「この場合は、SPがシスコン、社長がブラコン、あと主従プレイだ」

ハルコ「なに?もう一回言ってくんない?」

ヨウタ「…いや、もういい」


ナユタ「ぼくたちも仲良し兄妹なんだね」

ケンジ「ごほん」


ハルコ「仲良くねえよ!」

ヨウタ「仲良くねえよ…」

ハルコ「真似すんな」

ヨウタ「真似すんな」

ハルコ「おい!」

ヨウタ「おい!」


ケンジ「はは、仲睦まじいですね」

ナユタ「うん、妬けちゃう」


ハルコ「あれ出して、いつもの」

ヨウタ「はいはい」


ピカッと光る、キーーーンと音も出る、魔法レンタルの太陽玉だ

ナユタ「うん、見えない、見える?」

ケンジ「見えます、鼻が利くので」


白い視界の中で目を閉じて交戦するというケンジ、見えない敵にどうやって対処できるというのか、ヨウタは真っ先にケンジを狙った

パシッ!ブゥン…ドゴォ!

ヨウタ「ぐっ…やれ!気にせず撃て!」

ハルコ「しねしねしね!」

ダダダダダダ

と打ち込まれる銃弾


ナユタ「すべてつかんで」

ケンジ「はい」

銃弾をすべて掌にのせた、さきほどの芸当といい何をしているのかわからない

ヨウタ「無敵かよ」

ナユタ「うん、上出来」

その間にヨウタは机のしたにスライディングして盾にしていた、その後ろをハルコが駆け抜けていく

ハルコ「私のパンチは掴めない」

ヨウタ「バカ!そいつは不死身だ!」

ハルコ「え?」

ファルコパンチ!はぐしゃっと心臓をたしかに貫いている

ケンジ「社長、つかまえました」

ナユタ「ケンジ君がハルコ捕まえた」

能力の鬼ごっこを発動した


ナユタ「喉が乾いたから水を飲みたいな」

ケンジ「はい、ただいま」

ハルコ「おうおうおう!戦い中に休憩とかなめてんのか?」

ナユタ「うん、おわったよ」

ケンジ「そのようですね」

ハルコ「まてこのやろ!」

ケンジ「負け犬はよく吠える」


ヨウタ(おそらくAkumazonの会員から寿命をもらっているケンジは不死身、さらにナユタは名前を唱えて、鬼が捕まえたと宣言して触ると、対象はいくら追いかけても鬼役に追い付けなくなる)

ヨウタ「心臓を貫いても動くSPのゾンビと、鬼女は捕まえた対象を永遠に追い付けなくさせる能力か」

ナユタ「剣も出せるけど、お兄様に止められてるんだ」

ヨウタ「奥の手もある」


ハルコ「逃げる?」

ヨウタ「いや」


ヨウタ「いけるかもしれない」

ハルコ「奥の手を教えてくれたお姉さん、私の戸籍はねー、コハルなんだよね」

ナユタ「能力が、効いてない」


ハルコ「これが私の渾身のパンチだ!」

ケンジ「…パンチではないのか」

シャークキック!が今度こそ心臓を貫いた


ナユタ「不死身だから」

ヨウタ「普通はそうなるよな、でも逆なんだよ」

ケンジ「ぐっ…がはっ…」

ナユタ「どうして?」


ヨウタ「Akumazonはセキュリティに脆弱性がある、この建物のメインシステムに直接アクセスして、会員すべてのライフポイントをマイナスの数値にしたんだ」

ハルコ「お兄ちゃんの話は、よくわかんないや」


ナユタ「つまり一年分の寿命が、マイナス一年分として私たちに与えられたと?」


ヨウタ「そうだな、この瞬間、お前らの寿命は尽きてるらしい」

ハルコ「死ぬ前に奥の手使えよ?」

ナユタ「ありがとう教えてくれて」

ハルコ「は?」

ナユタ「ナユタがコハルとヨウタ捕まえた」


ハルコ「お兄ちゃん逃げて!」

ヨウタ「まずい!追い付けなくなる!」

剣が飛んでくるが、相手との距離は縮むことはない、このままやりあうと攻撃すら届かずに死ぬ

ヨウタは全身義体だ、ハルコの盾になって何分間かもつはず、しかし剣が体を貫いてゆく


ヨウタ「母ちゃんはな、吸血鬼は特に真の名は隠すようにと言っていたな」

ハルコ「お兄ちゃん、そんなこと言ってる場合じゃ!」

ヨウタ「俺はまだ字(あざな)は教えてない、ハルコ、奥の手でいこう」

ハルコ「わかった、信じる」


ヨウタ「盾には矛を!」

ハルコ「矛には盾を!」


ナユタの攻撃を盾が弾き返す

ナユタ「私と同じ能力…」


ヨウタ「今だ!ハルコ飛ばせ!」

ハルコの飛ばした盾に乗ってナユタのところに進むヨウタ


ナユタ「盾で矛に敵うとでも?」

ヨウタ「やってみないとわからないだろ?」


キーーーンと音がする、白い光

ナユタ「がっ…」

ヨウタ「ほらな、勝ったろ」


ナユタ「最期は私の魔法に、私がやられるなんて…」


ヨウタの隠し持っていた魔法レンタル回数券の閃光玉で、目が開かなくなったナユタ

そして、直前のかち合いでナユタ自身の魔法の操作を見誤ったのだ

自分の落とした大量の剣の雨をすべて身に受けることになった

一方でヨウタは、盾で攻撃をする気はなく、背中に亀の甲羅のように剣の雨を受けきった、その盾は固く矛を砕き、その通り、この仕合は「矛に盾が勝った」のだ


ナユタ「お兄様の言ったとおり…使っちゃダメだった…んだ…」

バタリと崩れ落ちるナユタをハルコがそっと受け止める

ハルコ「つかまえた、お姉さんが鬼の番ね!」


ナユタの魔法の力が完全に消えて、剣の雨が降り注ぐ

もう片方の手をハルコはぐぐっと向けて、魔法を使うと、ケンジの死体に大きな盾が覆った

ナユタ「あり…がとう…」

ハルコ「私があなたなら、同じことをすると思っただけよ、勘違いしないで」


ナユタは息を引き取った、二人の遺体は盾で覆い、近くに寝かせた、それを見つめて思うことを口にするヨウタ


ヨウタ「寿命で魔法をレンタルする、そのレンタルした寿命で兄を生き返らせる、か」

ハルコ「お兄ちゃん…」

ヨウタ「お前は間違えるなよ、俺はこのままでいい」

ヨウタは全身義体である、つまり本人の肉体と命はもうなく、ただの記憶データで動くロボットでしかない

壊れた義手、片腕がもげている、バチバチと火花が散っている

ハルコ「私は心春だけど、お兄ちゃんの本当の名前ってなに?」

ヨウタ「さあ、覚えてないんだ」

剣と盾だらけの建物を背にして

東京に朝日が差し込む


ハルコ「あ、太陽だ!」

ヨウタ「…そうだな、太陽だ」


おわり

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第三章 悪魔大戦【ながやまこはる×予言のナユタ続章モノ】 長山春子 @mtkiki

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