第21話 鈴とのデート(1)

鈴が大会で予選敗退してから翌日になった。

翌日は.....俺はワックスでちょいちょいと髪の毛を固めたりする。

何というかあまりこういう事はしたくないが。

デートをして欲しいという約束だった。

その約束を破る訳にはいくまい。


「お兄。準備出来た?」


「.....まあそうだな」


「うわ!何それ!すっごいイケメン」


「オイ。それはどういう意味だ。普段は違うってか」


「そうだね。普段は情けないけど」


最悪だ!、と思いながら盛大に溜息を吐く。

そして洗面所から出る時に環の頭をクシャッとした。

それから、触らないの〜、と言う環を見ながら。

鞄を持つ。


「じゃあ行って来るから」


「うん。.....じゃあ鈴さんに精一杯サービスしてあげてね」


「そうだな。.....忘れない様にする」


「うん。当たり前だよね」


「.....そ、そうだな」


それから俺は鞄を持ったまま表に出る。

すると目の前に.....何故か鈴が立っていた。

その姿に俺は見惚れる。


何故かと言えば.....相当に可愛かったから。

メイクが似合っている。

あり得ないぐらいに可愛かった。


「お、おう.....どうした?鈴。約束は.....駅だったよな?」


「確かに待ち合わせは駅前だったね。でも楽しみで来ちゃった」


「.....そ、そうか」


「.....格好良いね。雫くん」


「.....まあこれぐらいしか出来ないけどな」


そんな事ないよ。

とっても格好良く決まってる。

そう言いながら鈴はモジモジする。

俺はその姿を見ながら赤くなる。

そして玄関に鍵を掛けてから.....そのまま、行くか、と声を掛ける。


「.....うん。だね」


「.....」


「.....ねえ。雫くん。今日は私の彼氏だから.....手を繋いでも良いかな」


「.....え?.....い、いや。それは.....」


「恥ずかしい?.....私も恥ずかしいからお互い様だね。.....じゃあ繋ごっか」


「おいおい」


そして俺の手を掴む様な感じで握ってくる。

俺は赤くなりながら鈴のその姿を見た。

鈴は笑顔で、えへへ、と頬を掻く。


恥ずかしい様だ。

本当に。

これは本当に付き合いたての初々しいバカップルだな.....。

反応に困ってしまう。

本当に.....暖かい手だな、と思う。


「.....鈴」


「.....何?雫くん」


「.....大会.....残念だったな」


「.....うん。.....だけど私は.....もう気にしてない。.....寧ろみんなの応援があったから.....頑張れた。全力を出せた。.....もう十分だよこれで」


「.....」


「雫くん。あまり気にしないで。良かったって思って良いんだよ」


そしてギュッと手を握ってくる鈴。

それから満面の笑顔を見せた。

はにかむ様なむず痒くなる様な笑顔を。

太陽の様だった。


「.....そうか」


「.....そう。.....だから今日はいっぱい楽しもうね」


「.....ああ。分かった。お前の言う通り楽しもう」


それから俺達はカフェにまずやって来た。

このカフェは.....パンケーキで有名なカフェだな、と思う。

そして見上げていると鈴が、このパンケーキ屋さんは有名になったの。バズったっていうかな。カフェオレでね、と笑顔になる。

特別なカフェオレなんだ、とも。


「.....どういう所が特別なんだ?」


「例えば.....そうだね。.....パンケーキに合う様な甘さ控えめのカフェオレだよ」


「.....そうなんだな。.....それは是非とも飲んでみたいもんだ」


「そう。それが目的だったから」


そして俺達は清楚な店内に入る。

弾ける様なポップなミュージックが流れているポップな店内。

するとピンクと白であしらった様なパン屋さんの服装の様な女性がやって来る。


2名様ですか?、とメニュー表片手に笑顔になる。

鈴が、はい。2名です。.....カップル割やってますよね?、と言う.....え!?

俺は驚愕しながら鈴を見る。

鈴はニコッとした。


「はい。カップル割ですね。.....2名様分のカフェオレが無料になります」


「.....え!?本当ですか!?」


「はい!」


すると俺の袖を引っ張ってくる鈴。

そしてニコッとしながら指差す。

店内のちょっと奥に2名様分の席があった。

人気な様でそこしか空いてないが。


「雫くん。座ろ。アハハ」


と直ぐに俺の腕に自らの腕を絡ませて誘導した。

胸が当たっている.....。

俺は赤面しながら鈴を見る。

そして椅子に腰掛ける。


「.....計画していたんだな。お前」


「.....そうだね。浮かすのも目的だけど。.....でも先ずは一緒に乾杯したくて」


「.....?.....それはつまり.....大会の分か?」


「そう。負けちゃったけどね。でも.....」


大会頑張ったよ〜、っていう乾杯だよ、とニコニコする。

俺は、意味が分からんが.....まあお前が言うならな、と飲み物が来てから苦笑気味にそのまま乾杯した。

それからメニューを見てみる。

美味そうなパンケーキが並んでいた。

例えばチョコバナナとか.....そういうのが、だ。

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幼馴染の浮気のせいで心が壊れました。〜今更全てを取り返したいなんて遅いんだが〜(なろうより転載)(保存用) アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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