第5話 罰ゲームとして一緒にゲーセンに行く事

ミサンガ。

通称プロミスリング。

俺は鈴香とそれを手に入れてから帰宅する。

すると環が、お兄、と言ってきた。

俺は?を浮かべて玄関で環を見てみる。


「その。.....春香さんが来たよ」


「.....何しに来たんだ」


「『お菓子作ったから置いて行く』だってよ。.....お兄が食べるとは思えないって言ったけど」


「.....今はそんな気分にならないな」


「.....だよね。.....だから春香さんのお菓子は少しだけ貰った」


正直言ってそんな気にしてもらう必要も無いんだが。

俺は考えながら眉を顰める。

すると環が、何処に行ってたの?、と聞いてきた。

俺は、まあちょっとな、と言う。


「.....鈴香さんとか.....?」


「.....まあそうだな。.....鈴香と一緒に画廊に行って来た。近所の」


「.....そっか。お兄は絵を見るのが好きだしね」


「.....そうだな。絵を描くのが得意なお前に感化されてな」


「私のは賞を取れる様な代物じゃ無いけどね」


そんな事を言いながら苦笑する環。

そうは言うが.....環の絵は賞を取れるレベルだと思う。

何故なら.....かなり深い所まで描いているから。

繊細で.....しかも良いタッチをしている。


「.....私の絵は下手くそだよ。画家さんに失礼になるから」


「.....馬鹿言うな。お前の絵は.....好きだぞ」


「そういうの要らないからね。お兄。私達は兄妹だからいくら褒めても何も出ない」


「.....厳しいなお前.....」


そんな会話をしながら俺は玄関を上がる。

それからリビングに行くとスマホが震えた。

そこには.....鈴香からのメッセージが。


先輩。今日は有難うございました。明日も一緒に何処かに行きましょう。


そう書かれているのだが.....何で明日も動かなくちゃいけない。

俺は苦笑いを浮かべながらスマホを見る。

すると環が覗き込んでいるのに気が付いた。

何をしているんだコイツは。

人のスマホを覗くなんざ。


「.....良かったよ。お兄」


「.....何がだ?」


「少しだけでもそう言うやり取りがあって。絶望的かと思ったけど」


「俺は好きでこういうのをしているんじゃないってのは知っているよな?」


「そうだね。どうだか」


あのな、と言いながら環を見る。

すると環は逃げる様に洗濯物を取り込みに行った様だった。

俺はその姿を見ながら返事を書く。


お前な。俺だって暇じゃないんだぞ。


と。

すると鈴香は、暇じゃないって言い方は暇って事ですよね。付き合って下さいね、とスタンプと一緒に送られてきた。

この野郎。


「.....何でこんなに絡んでくるのか.....分からないな」


俺は考えながらそのまま冷蔵庫から飲み物を取り出して飲み。

そのまま俺はスマホをポチポチ弄っている.....と。

インターフォンが鳴った。

まさかと思うが春香か、と思ったが。

違う人物が立っている。


「何しに来た。鈴」


『それは勿論遊びに』


「.....あのな.....暇じゃないとお前の妹に言ったばかりだぞ」


『暇じゃないって事はひ.....』


「その言葉はもう聞いた!アホ!」


流石は姉妹だな!

俺は頭を抱えながらそのままドアを開ける。

そこに.....鈴が立っていた。

何か持っている。

それは.....ゲーム機であった。


「.....何をする気だ」


「ゲームしよ」


「馬鹿なのかお前は.....その為にわざわざ2丁目から来たのか?」


この場所は鈴と鈴香の家から3丁目なので1キロぐらい離れているが。

まさかこの時間になって来るとは.....。

俺は額に手を添えながら鈴を見る。

鈴はニコニコしながら、時間無い。早くしよ、と言う。

いやお前。


「.....お前.....暇じゃ無いって言ったろ」


「.....それは暇の裏返しだよね。君の場合は」


「あのな.....」


「良いから。しよう」


そしてドカドカ上がって来て早速とドッグをテレビに繋いだ鈴。

コイツ俺の自宅を何だと思ってんだ。

俺は考えながらジト目で鈴を見る。

すると鈴は、はい。コントローラー、と渡してくる。

あのなぁ.....暇だけどこんな気分じゃ無いってのは本当だぞ、と言うが。


「そう?私はこんな気分だから」


「.....部活で疲れているだろお前。.....大丈夫なのか」


「そんなの関係ない。雫くんに会う為なら」


「.....は?」


「.....い、良いから!早くするよ!」


何だコイツは?

そう思っていると環が戻って来た。

いつの間にか鈴が居る事に驚いていたが。


まあ。鈴さんだし、と諦めた様子でそのままゲームをし始める俺達。

因みにゲームは。

マリ○カートだった。


「あ。鈴さん」


「.....何?環ちゃん」


「罰ゲーム仕掛けてやって下さい。お兄落ち込んでいるし丁度良い罰ゲームを」


「.....お前.....何を考えている?そんな暇.....」


「罰ゲーム?うーん。.....じゃあ分かった。.....今度の放課後にゲーセンに2人で一緒に行く、で良いかな。プリクラ撮るよ一緒に」


何を勝手に.....お前。

色々と決めんな。

俺はツッコミを入れたが時既に遅し。


何というか俺が慣れないゲームと気分で惨敗した。

そして付き合う事になってしまう。

何でこうなった。

俺は勉強したいのだが?

それにそんな気分にならないのに.....。

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