第2話 不安定な日々

何がその、歪んでいるのか分からない。

一体何を信じれば良いのか。

それから俺は何を見つめれば良いのか。


俺は考えながら額に手を添える。

振られたショックより。

裏切られたショックがデカすぎる。


幼馴染が何を考えているかも分からない。

訳を話してくれてもいいと思うのだが。

俺は幼馴染の事を心から信頼していたと思う。

そして愛していた。

だが。


大好きだったのに。

思いを寄せていたのだ。

だけどそれは叶わない願いだったのか?

俺がバカなだけなのか?


「何でだよ.....春香.....」


そんな事を呟きながら俺は妹が去ってから頭を抱える俺。

まさか浮気で別れる羽目になるとは誰が想像したらものか。

そのまま絶望に明け暮れたまま.....翌日を迎えてしまった。


翌朝、玄関のドアを持ってから盛大に溜息を吐きながら通学の為に環と表に出る。

すると目の前の門あたり。

困惑した虹宮鈴香(にじみやすずか)が此方を見ながら立っていた。

俺を見て悲しげな顔をする。


「.....先輩。.....どうしたんですか.....その。何で私のアカウントを消したんですか?」


「ああ。.....いや。もう良いって思ったんだ」


「え.....何の事ですか.....」


「お前とも、もう付き合えない、って思ってな。.....迷惑を掛けるのと.....色々と女性を信じられなくなってな。疲れたんだ」


「え.....ど、どういう.....」


俺は鈴香を見る。

そして、すまない、と言いながらそのまま歩き出す。

すると鈴香が、せ、先輩。こんなの酷いです、と言ってくる。

御免な、と言いながら構わず歩いた。


「.....せ、先輩。すいません。分かりません。何が何だか.....え、嘘ですよね?」


「.....すまん。女性不振になっただけだ。.....お前もきっと周りも.....」


「先輩.....」


「.....」


「.....先輩。.....わ、私は.....何があったか分からないですが信じてほしいです.....」


環が、お兄。流石に鈴香さんは、と言うが。

複雑な顔をしたまま鈴香を見る。

鈴香は、泣きそうな顔をしていた。


先輩。私は違います!だからそんな顔は.....その.....、と言ってくる。

俺はその言葉に、すまない、とだけ話してから歩いた。

泣きじゃくる声がした。


「お兄.....良いの?」


「.....こうするしか無いだろ。.....誰も傷付ける訳にはいかないのなら」


環は悲しげな顔をしながら俺に付いて来る。

そして交差点に差し掛かった時。

俺は環といつも通り別れてから。

そのまま高校に登校し始める。

そうしてから下駄箱を開けていると俺にまた女子が声を掛けてきた。


「おはよう!」


「.....何の用だ?.....鈴」


「何の用って決まっているけど.....アカウントにメッセージが送れないよ?何でブロックしたの」


ああそれな、と説明する。

すると鈴は青ざめた。

え、と言いながら。

女性不振になった.....から?だからブロックしたの?、と震えながら。

俺は、ああ、とだけ返事して、だからもう女子と喋らない事にした、と答える。


「.....そうなんだね.....」


「だからもう理解してくれ。俺に必要最低限以外は話し掛けないでくれ」


「.....」


「.....すまない」


俺は立ち去る。

すると愕然としていた鈴が俺の肩を掴んだ。

そして、私は春香とは違うよ!信じて.....、と言ってくる。

俺はその姿を見ながら、信じられないのが悪いけど。.....鈴香にも告げた。.....そういう態度にしてくれ、ってな。

だからもう良いか、と立ち去ろうとする。


「.....楽しくないよ。そんなの.....」


「俺も楽しい気分じゃない。でももう良い。疲れたから。すまない」


「.....」


鈴は嗚咽を漏らして泣き始めた。

俺の事を何でそんなに思っているのか知らないけど。

でももう思ってくれなくて良いから、と言いながら俺は立ち去った。

そして教室に来ると。

春香が複雑な顔で向いてくる。


「.....雫.....」


「春香。何だ」


「.....その.....私が.....」


「お前のせいで全て崩れていってる。.....お前が訳を話せば違ってくるかもしれないけど」


「.....まだ話せない.....」


「.....いやお前。マジに.....訳が分からん.....」


悲しいのは俺の方だぞお前。

俺は呆れてそのまま椅子に腰掛ける。

そして机に突っ伏した。


もう何も考えれないなこれ。

何一つ頭に浮かばんわ。

困ってしまう。

本当に何も思い浮かばない。

考えれない。

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