父の日

 世の中の父親的存在、全員がそうではないとわかっていつつも、私の中にはやはり恨み節が響き渡っており今も止むことはない。こーんこーんと藁人形に釘を打ちながら血の涙を流している(山崎ハコ「呪い」)


 なんで今日がよりによって父の日なんだよ!

 1日ずらしてって言ったでしょうが!


 私の周りに父親存在は義父しかいない。彼はよくできた父親で、過不足なく父親で、どうしようもなく父親で、で、彼の息子のヨメたる私は、父親を喪失して久しい私は、マジでどうしていいかわからない。

 距離感が全然わからない。何せ自分の父親すら「アレ」してしまった娘である。


 永久追放さよならバイバイした父親と、現在一緒に暮らす義父とは月とすっぽんくらいの差があって、私は過去のクソすっぽん親父に食いつかれながら月を見上げている。どうやったらこんな健全な父親になれるんだろうナァ。めちゃくちゃ遠くて近い、それでいて理解できない。一緒に住んでるのに理解できない。

 それは私が、永久追放さよならバイバイした父親に育てられたからであろう。私はアレが「父親」の姿であると刷り込まれてしまっているのだ。だから義父のことがよくわからない。

 

 父親だって人間の数いるはずなんだけど、よりにもよってどうしてあんなバブちゃんが私の父なのかいまだに解せない。なんであんなにバブちゃんなのに父親になれたのか解せない。なぜあんなに無責任なのに父親になれたのか本当に解せない。

 無責任ですよお父さん。ほっとけば勝手に育つとお思いですか。そんで適当に構って(もらって)おけば愛情が湧くとお思いですか。

 残業と称して打つパチンコ楽しかったでしょ? 酔いどれ絡み酒でやる赤ちゃんごっこも恋人ごっこも楽しかったでしょ?あれ妹を守るために私が買って出てたの知らないでしょ? 私が大学でいない間、妹にもやってたんですか?


──馬鹿野郎が。


 と、小説であればこんな罵声を吐くところであるけれどこれはエッセイなので、まあこの辺りにしておこうと思う。

 

 そう言えば、よくできた義父の息子であるよくできた配偶者が私にポメラ(文字打ち特化のワープロみたいな奴)を買ってくれた。誕プレだという。

 呪われたあの日から何年経ったか忘れたけど、祝ってくれる人がいて藁人形をコンコンやり続けるのも変な話である。恨みも呪いも続いていくしこの本当に馬鹿馬鹿しい命(あの父親バカ由来のバカバカしいわたし)も続いていくわけなんだけど、今日くらいはいいかな。


 私へ、誕生日おめでとう。

 忘れろ。父の日なんかいらない。

 そんなもんは蹴っ飛ばしてしまえ。


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