第18話  セッタで想ってみる。


木陰に車を停めて、ちょいと、一服…。


たまにゃ、現実から離れ、ぼ~っと何かを考えてみようかしらん…。


そうだなぁ…。


何がいいかなぁ?



俺はセッタを、常日頃、愛用している。


セッタと言っても、セブンスターのことではない。


いや、セブンスターも毎日、おいしくいただいてはいるが、今、ぼ~っと考えたいのは、セッタ。


漢字で書くと、雪駄、感じで書くと、せった、で、ある。



いろいろなタイプのセッタを履くが、ここ、2年間くらいは、スネークモデル。

へび柄だ。


昔は、職人はよくセッタを履いていたが、最近は少なくなった。


それでも、また、若い職人のみならず、普通のおにぃちゃんも、履いている姿を見ることがある。


なかなか喜ばしい。

しかし、なんだか、イマイチ格好が悪いな。


それは、昔ながらの雪駄と言うより、鼻緒付きサンダルのような感じだからか?

有名な作業着メーカーの出しているセッタも、安っぽちぃ感じがするのは、俺だけだろうか?


まぁまぁ、セッタ自体の見た目の悪さは勘弁しましょう。


しかし、サイズ選びに問題のある人が多いことに憂いを感じてしまう。


セッタを履く。


すると、カカトから後ろに、2~3センチも余らせて履いている。


長すぎ、大きすぎだろ。


カカトから生える、ベロのように見える。

先日亡くなったアントニオ猪木のあごじゃないんだから、長けりゃいいってもんじゃない。


雪駄なんぞは、てめぇの足の裏と同じくらいの、少し、小ブリなやつを履くもんだ。


最初は、カカトが少し、セッタから、はみ出すくらいが見た目美しい。


大きいサンダルを履いて、可愛く見えるのは、3才の幼女が、おっかさんのサンダル、勝手に履いて、外を、パタパタ走り回っている時くらいだ。


おねぇちゃん達のミュールだって、ブカブカは嫌でしょ?


そりゃ、小さめの奴を履くんだから、最初は痛いよ。


でも、しばらくすると、鼻緒が馴染んで、ぴったりになる。

ぴったり、足の裏にフィットするからこそ、動きやすくなる。


セッタはもともと、職人が仕事の時に履いてたんだからな。

だから、小さめの方が、機能性も高いんだ。


最初の痛さくれぇ、我慢のうちには、はいらねぇよ。


雪駄はさ…小粋に履こうよ。



今は冬、素足にセッタは辛くなる。


陸足袋、履いて、雪駄、履く。


ねじり鉢巻、腰手拭い。


はっぴ姿に懐手。


からっ風に、手鼻、かむ。


酒と煙草と木のにおい。


鼻とおでこが光ってる。


あぁ…そんな職人、もう、いねぇ~なぁ…。


スーパーニッカに、たび靴の、ガテン系のおにぃちゃんと、こざっぱりした、じじぃの職人ばかりだもんなぁ。



粋は良い良い、帰りは怖い♪


ってかぁ~。



さぁ、そろそろ、現実の世界に帰ろうかなぁ?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る